ウクライナの凄惨映像、子どもへの影響は 専門家「繰り返し見過ぎないことが大事」

ウクライナにロシアが侵攻して1か月が経過し、戦争の過酷な現実が広く世界に報道されている。ニュースやSNS上で配信される写真や映像の中には、戦争の悲惨さに思わず目を覆いたくなるようなものも含まれる。キーウ周辺ブチャ市ではロシア軍の撤退後、民間人とみられる多数の遺体が見つかった。平和の大切さ、命の尊さについて誰もが考えさせられる一方で、懸念されるのが子どもたちへの影響だ。「夜寝られない」「トラウマになりそう」――。桜美林大の池田美樹准教授(臨床心理学)に惨事報道への向き合い方や対処法を聞いた。

ロシア侵攻後のウクライナの様子【写真:Getty Images】
ロシア侵攻後のウクライナの様子【写真:Getty Images】

強すぎる刺激やショックに配慮は必要

 ウクライナにロシアが侵攻して1か月が経過し、戦争の過酷な現実が広く世界に報道されている。ニュースやSNS上で配信される写真や映像の中には、戦争の悲惨さに思わず目を覆いたくなるようなものも含まれる。キーウ周辺ブチャ市ではロシア軍の撤退後、民間人とみられる多数の遺体が見つかった。平和の大切さ、命の尊さについて誰もが考えさせられる一方で、懸念されるのが子どもたちへの影響だ。「夜寝られない」「トラウマになりそう」――。桜美林大の池田美樹准教授(臨床心理学)に惨事報道への向き合い方や対処法を聞いた。(取材・文=水沼一夫)

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――戦争報道を見る機会が増えています。子どもへの影響をどう感じていますか。

「今回、すごく悲惨な場面や衝撃的な場面が報じられています。子どもだけでなく、大人でもそういう報道を見ることによって、抑うつや強い不安、恐怖などが反応として出てしまうことがあります。配信される写真や映像については、社会情勢から起こりうる状況だとは思っているのでちょっと心配はしていますね。私個人としてもそうですし、トラウマに関する学会(※文末参照)も、報道に対しての付き合い方とメンタルヘルスについては、気をつけていきましょうねという発信をしているところです」

――SNSの発達により、タイムラインに流れてきて意図せずに凄惨な写真や動画を見てしまうケースもあります。

「とくに準備のないところに衝撃的な映像を見てしまうと記憶にも印象に残りやすい。子どもはいろんな情報を大人ほど精査して見ることができません。情報の一部だけが取り上げられると、不安が強められる場合があります。子どもは、認知・発達の途上であるため、自分で状況を正しく理解する力が十分でなく、心の安全とか安心感が揺らぎやすいところがある。子どもだからこそ心配な点です」

――同じ子どもでも年齢によって受ける影響は違いますか。

「小学校低学年までは、自分で見聞きすることのできる範囲が限られています。周囲の大人の反応に影響を受けやすいでしょう。一方、高学年の10歳から12歳ぐらいの子どもは自分なりの見方を発達上、作ってきている段階です。移行期にあたる子どもたちなので、理解の仕方が独特であったり、思い込みなどが作られやすいと言われています」

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