38歳サラリーマンがボクシング“デビュー”を目指すワケ 亀田大毅の下で猛練習

38歳、ド素人のサラリーマンがボクシングデビューを目指し奮闘している。プロボクシングの元世界王者・亀田大毅氏の指導を受けて、今年1月から練習を開始。夏頃にリングに立つことを目標に、厳しいトレーニングを重ねている。突き動かしているものは何なのか――。当事者の株式会社シティコミュニケーションズ・長石優敬さんに聞いた。

亀田大毅氏の指導を受け“デビュー”目指す長石優敬さん【写真:山口比佐夫】
亀田大毅氏の指導を受け“デビュー”目指す長石優敬さん【写真:山口比佐夫】

きっかけは初のボクシング生観戦「同じリングに立ってみたいなって」

 38歳、ド素人のサラリーマンがボクシングデビューを目指し奮闘している。プロボクシングの元世界王者・亀田大毅氏の指導を受けて、今年1月から練習を開始。夏頃にリングに立つことを目標に、厳しいトレーニングを重ねている。突き動かしているものは何なのか――。当事者の株式会社シティコミュニケーションズ・長石優敬さんに聞いた。(取材・文=角野敬介)

 3月某日、都内のボクシングジムのリングに長石さんは立っていた。ボクシンググローブとヘッドギアをつけた38歳。練習開始から2か月。初めてのスパーリングだった。

 相手はプロデビューを目前に控えた18歳の高校生。パンチはもらうのに、こちらの攻撃はまるで当たらない。“セコンド”についていた大毅トレーナーからの「もっと前に出よか!」「自分から打っていかんと!」という声も届かない。1分×2Rのスパーはあっという間に終わった。

 相手はプロテストに合格したプロボクサー。ほろ苦い“デビュー戦”となったのも無理はないが、「思ったより攻められなかった。どう打っても当たらないだろうなっていう感じを受けた」と力の差に落胆。「無作為に攻めることはできるんだけど、消耗するだけだろうなって。余計なこと考えちゃいました」と汗だくで振り返った。

 38歳。ボクシングはド素人で、本格的なスポーツ経験も高校野球まで。常識で考えれば、無謀な挑戦なのかもしれない。だが長石さん自身が選んだ道だ。きっかけは、昨年12月16日に行われた、亀田興毅氏が会長を務める3150ファイトクラブの興行「3150ファイトvol.1」の試合を生観戦したことだった。

「今までボクシングってただ殴り合う競技って思っていました。選手の動き一つ一つを生で初めて見て、洗練されたスポーツだなって感じた。ぜひこのリングに立ちたいなって思いました。選手を見て、興奮、感動して、挑戦したいなって思ったのがきっかけです。特に宮崎亮選手(元世界王者)の試合を見たのが大きかった。(パンチの)避け方も上手で、うわっ、なんで?って。パンチもなんだこれ?って、気功波みたいなものをパンって打って。同じリングに立ってみたいなって、純粋に思いました」

 目を輝かせて回想する長石さん。一瞬でボクシングの虜になった。

 プロテストは年齢制限(34歳まで)のため断念したが、諦められない。「3150FIGHT」(自社が協賛)のエキシビションマッチなら――。リングに立ちたい一心で、会長の興毅氏、副会長の大毅氏、同席していた父・亀田史郎氏に対して直談判。亀田家サイドも未経験者をリングに上げることに不安を覚えながらも、最終的には大毅氏が専属トレーナーにつくことで、プロジェクトがスタートした。

「やっぱり本気度を伝えるためにもまずはプロにならないとと思った。エンタメファイトの存在は知ってましたけど、エンタメで出たいというのと、プロを目指すから出させてくれっていうの全然違う。まずはプロの資格を調べました。そこで年齢がひっかかって、ダメなのかと。残念ではあったのですが、エキシビションがあるならそっちに出たいと。最初からエンタメファイトを考えたわけではありません」

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