鬼軍曹・山本小鉄さんの目はごまかせない 桜吹雪が舞い散る季節に思い出すこと

今年の東京の桜は27日に満開となった。まさに「三日見ぬ間の桜かな」。惜しむ間もなく、風に誘われ舞い散る桜吹雪。川面には幻想的な花筏。はかない桜の魅力に酔いしれる。ゴルフが大好きだったジャイアント馬場さんは、桜の季節を楽しみながらも、早く過ぎ去ることを願っていたという都市伝説がある。桜が散るころには、グリーンの芝生がイキイキとしてくるからだ。

山本小鉄さんの若き勇姿【写真:柴田惣一】
山本小鉄さんの若き勇姿【写真:柴田惣一】

アントニオ猪木はランニング中にもファンサービス

 今年の東京の桜は27日に満開となった。まさに「三日見ぬ間の桜かな」。惜しむ間もなく、風に誘われ舞い散る桜吹雪。川面には幻想的な花筏。はかない桜の魅力に酔いしれる。ゴルフが大好きだったジャイアント馬場さんは、桜の季節を楽しみながらも、早く過ぎ去ることを願っていたという都市伝説がある。桜が散るころには、グリーンの芝生がイキイキとしてくるからだ。

 葉巻をくゆらす馬場さんの姿に加えて、この季節になると、さまざまな光景が浮かんでくる。都内・世田谷区野毛の新日本プロレス道場は、多摩川のすぐそば。今年も土手には桜が見事に咲き誇った。そして桜吹雪の中を走る新日戦士たち……。

 今でも会場周辺を走り込む選手をよく見かけるが、かねてから新日勢はアントニオ猪木以下全員が練習メニューに小1時間のランニングを取り入れていた。

 かつて猪木の付き人を務めていた藤原喜明が「巡業中も猪木さんは毎朝、早起きしてロードワークするんだ。俺たちは毎晩、雑用もこなしていたから、早く寝られない。それでも猪木さんを起こして、走りに行くんだ」と振り返る。

 もちろん藤原は宿舎で待っているわけにはいかない。猪木と一緒にランニングだ。「俺が自転車に乗って『オラ、走れ、走れ』と伴走するなんて夢物語。猪木さん、走るのが大好きで、かなりのペース。俺は寝不足だし、若い俺の方がついていくのに必死だった」と苦笑い。

「走っている途中で『あ、猪木だ!』なんて声がかかるとファンサービスも始まってしまう。猪木さんはサービス精神が旺盛だったから。その整理もしなきゃいけない。気も使うし、体力も消耗する。今思い出すと、俺もよく頑張ったよな」と、藤原組長もいかつい顔でニンマリ。

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