WWEサウジアラビア大会はサプライズの連続 「レッスルマニア36」に大物スター選手続々参戦へ

WWEが2020年2月27日、中東サウジアラビアにてPPVイベント「スーパー・ショーダウン」をおこなった。同国でのビッグショーは18年4月27日「グレーテスト・ロイヤルランブル」、11月2日「クラウンジュエル」、19年6月7日「スーパー・ショーダウン」、10月31日「クラウンジュエル」につづき、通算5度目。首都リヤドでの開催は18年11月2日、19年10月31日、そして今回の2月27日で早くも3度目となる。

王者ブロック・レスナー 【写真:(C)2020 WWE, Inc. All Rights Reserved.】
王者ブロック・レスナー 【写真:(C)2020 WWE, Inc. All Rights Reserved.】

圧倒的な体格差 元新日外国人リコシェが王者レスナーと対戦

 WWEが2月27日、中東サウジアラビアにてPPVイベント「スーパー・ショーダウン」をおこなった。同国でのビッグショーは2018年4月27日「グレーテスト・ロイヤルランブル」、11月2日「クラウンジュエル」、19年6月7日「スーパー・ショーダウン」、10月31日「クラウンジュエル」につづき、通算5度目。首都リヤドでの開催は18年11月2日、19年10月31日、そして今回の2月27日で早くも3度目となる。

 前回の「クラウンジュエル」で元UFCヘビー級王者ケイン・ヴェラスケスを破りユニバーサル王座を防衛、総合格闘技での借りを返した“野獣”ブロック・レスナーは、リコシェを迎えての同王座防衛戦に臨んだ。

 スーパーヘビー級のレスナーと、線の細さは否めないリコシェ。体格の違いからしてもレスナーの優位は明らかながら、リコシェにとってはキャリア最大の大一番と言える大舞台だった。彼はDRAGON GATEや新日本プロレスなど、日本のファンにも知られるレスラーだけに、その足跡を辿ってみると感慨深いものがある。

 リコシェは03年にアメリカのインディー団体でデビューした。チカラプロレス、PWG、ICW、EVOLVEなど数多くの団体に上がり、10年のDRAGON GATE USAで日本の団体に見いだされた。DRAGON GATEに初来日すると、空中殺法のポテンシャルが開花。13年には新日本の「ベスト・オブ・ザ・スーパーJr.」に参戦し、翌年には優勝の快挙を成し遂げた。現NXTのKUSHIDAを破っての初制覇だ。そして1年のブランクを経て再エントリーした16年には、初来日のウイル・オスプレイと出会うことになる。

 オスプレイとの公式リーグ戦は日本マット界ならず、世界中で物議を醸す”炎上マッチ”となった。プロレスの枠を超えるかのような大スペクタクル空中戦は、海外のレスラー、関係者たちまで大いに困惑させた。2人の試合について意見、持論を述べ合ったのである。これほどまでに短時間で急速に広まったのはある意味、プロレス史上初めての出来事だったのではなかろうか。そのなかには決して好意的なものばかりではなく、批判の声も含まれていた。代表的なものが故ベイダーさんのコメントだ。その後、オスプレイとベイダーさんの一騎打ちが英国RPWでまさかの実現。オファーしたRPWもすごいが、受けたベイダーさんもすごかった。この試合にはリコシェもオスプレイのセコンドとして”参戦”した。試合に介入し、オスプレイとの合体技をベイダーさんに見舞ったのだ。体格差やスタイルの違いなどからしても、ベイダーVSオスプレイの一騎打ちが今回のレスナーVSリコシェにダブって見える――。

 リコシェがレスナー戦をたぐり寄せたのは、20年1月26日「ロイヤルランブル」がきっかけだった。30人参加の時間差バトルロイヤル、ランブルマッチは、レスナーがあえて1番手で登場した。入場してくるスーパースターをちぎっては投げ、ちぎっては投げの独走状態。なんと13人を立て続けに失格させてみせたのである。15人目に登場が初出場のリコシェで、つづいてドリュー・マッキンタイアがリングに上がった。レスナーはマッキンタイアと向き合ったのだが、一瞬の油断が命取りとなった。リコシェに背中を見せてしまったレスナーは、背後からローブローを食らう。レスナーをリングから落として失格させたのはマッキンタイアだったが、ここでリコシェとの遺恨が発生。その後すぐに落とされたものの、マッキンタイア優勝の発端となったのが、リコシェの急所攻撃だったことは間違いない。

 ランブル戦に勝利し20年4月5日「レッスルマニア36」に駒を進めたのはマッキンタイアで、レスナーの保持するWWE王座への挑戦をその場で表明した。が、このカードがそのまま実現するのではなく、レスナーには祭典前に防衛戦をおこなう義務があった。次期挑戦者を決める試合は2月3日「ロウ」でおこなわれ、セス・ロリンズ、ボビー・ラシュリー、リコシェがトリプルスレット戦で激突。ここで挑戦権をものにしたのはWWEでの実績で引けを取るリコシェだったから痛快だった。勢いをつけたリコシェは仮想レスナーとも言えるラシュリーや、ギャローズ、アンダーソンとのシングルマッチをそれぞれ異なるフィニッシュで通過した。たしかにレスナー戦は厳しいが、フォールを奪えるトリッキーな技を複数持っているのが彼の強みでもある。

 そして迎えた「スーパー・ショーダウン」でのタイトルマッチ。リコシェは開始早々、ドロップキックで奇襲をかけた。が、レスナーが迎撃し、その後は”スープレックスシティー”へ連れ込まれてしまう、スープレックス3連発を食らい、F5でフィニッシュ。2分とかからない秒殺だった。レスナーの強さは、やはり圧倒的だ。

 とはいえ、WWE昇格後はサモア・ジョーからUS王座を奪ったリコシェである。このままお役御免とはならないだろう。彼の空中殺法はWWEを制圧するほどの可能性に満ちている。将来的にはレイ・ミステリオのようなポジションが期待されるのではなかろうか。WWEにおけるリコシェの活動は、日本で活躍するオスプレイとのコンペティション(競争)でもある。

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