刑務所マニア・緑川ちひろが受刑者と文通して見えた世界 伝えたい「やり直し」の重要性
文通を通じ、刑務所のイメージがガラリ「この人たちがいい方向にいく社会って、どんな社会だろう」
文通をしてみて、多くの人が「写真をください」と書いてくるのにはびっくりしましたが、“男と女として”ではなく、あくまでも“受刑者の方とタレントとして”の文通なので、写真を送ることはありません。あとは「付き合ってほしい」「好きだ」というお手紙もいただきます。拘置所や刑務所からくるお手紙って、ちゃんと全部検閲されてハンコが押してあるんです。そんな中でも、結構な下ネタが検閲を通っていることには驚きましたね(笑)。
さまざまなお手紙をいただきましたが、中には家族の話をしてくださる方もいます。それまでの私は、漠然と「受刑者=罪を犯した人」という感覚でいたのですが、その1人にも家族がいるんですよね。「家族に迷惑をかけて後悔している」というざんげのようなお手紙をいただくこともあります。世間的な見方は難しいかもしれないですが、自分のためだけではなく、ご家族やいろんな人のためにもいい方向に向かってほしいです。
文通する前は、刑務所に対して「アングラ」「悪いやつが集まる」というイメージで、「おもしろいところ」という印象だけを抱いていました。でも、実際にやりとりをすると、人間として受刑者の方がいて、一人一人に家族がいて、生い立ちがあって、やってしまったことを後悔している。すごく人間的な部分を感じるようになりましたし、「おもしろそう」という気持ちから「応援したい」という気持ちに徐々に変わっていきました。
最初は「知りたい」から始まった文通ですが、「この人たちがいい方向にいくようになる社会って、どんな社会だろう」と考えるようになりました。今まではそんなことには興味のないただのオタク女子でしたが、やりとりを通じて「今の法律ってどうなんだろう」「世の中はどうなっているんだろう」と思うようになったり、私が受刑者の方と文通をしていることに対して世間の人が白い目で見てくることにも疑問を感じたり。自分の中の認識が変わってきたと思います。
私の活動に対して、もともとのファンの方は応援してくださっていますが、ネットニュースだけを見た方からは否定的な声も多いです。「おもしろがってやっている」「出所したら犯罪に巻き込まれる」と心配してくれる声もありますし、「黙って罪を償わせればいい」と厳しい意見もあって……。私は自分のしていることが批判されるとは思ってもいなかったので、最初は驚きとショックが大きくて、1日へこみました。でも「悪いことはしていない」「受刑者の方のためになることを」と考えて、持ち直しました。