平岩康佑、局アナ辞めてeスポーツの世界に転身した理由「絶対に逃したくなかった」

「“推し”の選手だけじゃなくて、全体を見てもらえたら」と呼びかける
「“推し”の選手だけじゃなくて、全体を見てもらえたら」と呼びかける

eスポーツには「ゲームが分からなくても、絶対に裏切らない魅力がある」

 日本のeスポーツ界は、欧米や韓国などと比較して「遅れている」と言われることも多かった。そんな状況も、平岩氏の視点から見ればもはや過去のものとなりつつあるという。

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「この3年くらいで相当変わってきていて、私から見るとほとんど遅れている感じはありません。eスポーツが盛り上がってきていた18年には多少(遅れていると)言われていた部分もありますが、日本で一番賞金の高い大会である『X-MOMENT』の『PUBG Mobile』部門では賞金総額が3億円でした。賞金総額3億円のリーグというのは、世界的に見てもかなり珍しいですし、昨年12月に開催された『Shadowverse』世界大会の優勝賞金も1億5000万円。個人の優勝1回で1億5000万円というのは、世界でもトップクラスです。それに『Apex Legends』は日本で最も流行っているということもあり、韓国をはじめ、欧米など海外の選手も日本の大会に出るようになっています。もう遅れというのはなくなっているのではないでしょうか」

 一方で、「ゲームのプロになりたい子どもたちをどれだけ社会的にバックアップしてあげられるかも、今後は大事になってくると思います」と、eスポーツのプロを目指すということへの社会的理解は、さらに深まる必要があると説く。

「『ゲームだからダメ』と言うのではなく、最終的にちゃんと見て判断してもらえればいいのかなと思います。ゲームをやっている子どものほうが高い偏差値の高校、大学に行くという研究データもありますし、高校生や大学生の大会で実際に強いのはいい学校だったりするんです。東大も強いですからね。そのあたりも誤解されている部分は多いと思うので、理解が深まってほしい。今まで何にも熱中していなかった子どもが『プロを目指したい』と本気になってやっている姿を見たときに、応援してあげられるような社会であってほしいなと思います」

 すでに大きな盛り上がりを見せつつも、まだまだ伸びしろを残す日本eスポーツ界。少しでも興味を持っている人、まだeスポーツの単語しか知らないという人々に声をかけるなら、どんな言葉になるのだろうか。

「これからeスポーツをどんどん見てもらいたいなと思っています。ゲームが分からなくても、絶対に裏切らない魅力がある。特に『CRカップ』(※)のようなカジュアル大会はすごく見やすいですよね。誰もが知っているような人が出ていて、その人を応援しているだけでも全然違う。

 あとは公式配信を見てほしいなと思っています。個人の視点で応援する人も多くて、それももちろんありがたいんですが、公式でしか見られない視点や、いわゆるスポーツ中継っぽく仕上がっている中で私たちがどのような言葉を伝えるのか。考えて準備して臨んでいるので、ぜひ公式配信を見てもらえたらうれしいなと思います。“推し”の選手だけじゃなくて、全体を見てもらえたらいいですね」

□平岩康佑(ひらいわ・こうすけ)1987年9月2日、東京都出身。2009年に米ワシントン州の大学で経営学を学び、大学卒業後の11年に朝日放送にアナウンサーとして入社。プロ野球、高校野球、Jリーグ、箱根駅伝などを担当し、17年にはANNアナウンサー賞スポーツ実況部門で優秀賞を受賞した。報道番組や情報バラエティーにも出演し、ラジオのパーソナリティーも経験。18年に同社を退社し、株式会社ODYSSEYを設立した。国内最大級のeスポーツイベントRAGEなどの実況を担当しながら、eスポーツキャスターの育成にも取り組んでいる。

※プロゲーミングチーム「Crazy Racoon」が主催する「Apex Legends」「VALORANT」「Fortnite」などのカジュアル大会。VTuber、配信者、プロゲーマー、芸能人など各界の有名人たちが参加し、開催のたびに大きな盛り上がりを見せている

次のページへ (4/4) 【写真】平岩康佑氏の自宅配信スペース
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