48・坂道グループでヒット曲連発も作曲家の正体は不明 同業者が考えるペンネームの意味

作曲家のペンネームにはいくつかの「型」がある

 ところで、ペンネームにはいくつかの「型」がある。

 1つ目は「筒美京平」型。これが通常のペンネームの形だ。作曲家・筒美京平は、本名を渡辺栄吉という。作曲をする際に使う名前が「筒美京平」だ。ペンネームを名乗ることで「匿名性」をある程度維持することができるが「筒美京平」という名でメディアに登場することもあった。

 2つ目は「呉田軽穂」型だ。松任谷由実が作曲した松田聖子の一連の名曲群(「赤いスイートピー」、「渚のバルコニー」、「瞳はダイアモンド」など枚挙にいとまがない)でペンネーム「呉田軽穂」を使用している。松任谷はおそらくアイドル歌手に提供する曲と自分が歌う曲を、自分の中で分けたかったのだろう。しかしながら「呉田軽穂=松任谷由実」であることを秘密にするものではない。

 そして3つ目が「秘密のペンネーム」型だ。代表的なのは初期の「ヒャダイン」だ。彼は数年間、自身が作曲家「前山田健一」であることを伏せていた。

 かく言う筆者自身も結果的に「秘密のペンネーム」を使用していたことになる。11年に作曲家事務所を移籍した際、新事務所の担当者から新たにペンネームでの活動を打診され、心機一転の思いもあり承諾した。当時まだ幼かったまな娘の名前をそのまま英語に置き換えた「you-me」の名で楽曲コンペに参加した。16年のAKB48「君はメロディー」でオリコン1位を獲得するまで、「you-me」が「成瀬英樹」であるということを公言しなかった。

 と言うのも、12年に当時AKB48在籍中だった前田敦子さんのシングルとして筆者作曲の「君は僕だ」が採用された際オリコン1位になったら「you-meは僕です!」と発表しよう! と心に決めていからだ。結果は惜しくも2位であった。

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