「私の生きざまを見てほしい」 STU48矢野帆夏、ブレない恩返しの思いと目覚めた自覚

卒業した薮下楓(左から3番目)から「MiKER!」のリーダーを受け継いだ【写真:(C)STU】
卒業した薮下楓(左から3番目)から「MiKER!」のリーダーを受け継いだ【写真:(C)STU】

卒業メンバーから受け取った思い

 グループ結成当初から、お姉さん役としてメンバーの良き相談相手だった田中皓子、課外活動ユニット「MiKER!」の初代リーダーである薮下楓の卒業も、矢野の考え方を変える一つの転機だった。「ほかのメンバーにとっての頼れる存在にならないといけない」。そんな思いが、同期や後輩たちへこれまで以上に目を配り、自然と寄り添わせていく。

 2021年3月に行われた田中皓子の卒業公演では、悲しさに暮れる5歳年下の1期生・峯吉愛梨沙に声をかける矢野の姿があった。峯吉は同日のSHOWROOM配信で、「大丈夫、私がいる」と言われたことを明かしている。8月の薮下楓卒業コンサートでも、別れの寂しさにこらえきれなくなって涙するドラフト3期生・中村舞を矢野は隣で優しく見守っていた。心を許せる大切な存在から託された思いを、自分なりに行動に移した結果だった。

「こっこ(田中)はもちろん、年下の楓ちゃんも『MiKER!』のリーダーとして頼っていたし、甘えられる存在でした。卒業するまでの限られた時間で、(ドキュメンタリーブックや写真集のインタビューで)残してくれた言葉の中に私の名前を入れてくれていて。パラパラと読んでいたら書いてあって、ずるいよって(笑)。照れくさいけど、『任せたよ』という思いもあるのかなと読み取りました。正直、私はしっかりしているキャラでも性格でもない気がします。でも、2人の代わりが務められるくらい、STU48の中でも存在感のあるメンバーになりたいです」

 2代目キャプテンの今村美月は、同世代である矢野の温かみを感じている1人だ。「みちゅ(今村)は誰を頼っているんだろうって心配で。全部、私に言ってね」と矢野から伝えられたと明かす。

「私は、ほのたん(矢野)のほうがキャプテンに向いているんじゃないかと思うくらいで、話しやすいオーラに包まれているんです。2期生のほうからフランクに行けるような雰囲気があって、メンバーに寄り添える人。私もほのたんに支えられたことは今までたくさんあります。でも、本人にそう伝えたら、『私はキャプテンじゃなくて、気楽に行けるからだよ』って。本当にいい人だなと思いました」

 矢野は、「私はキャプテンとか役職があるわけではないので」といたずらに笑う。その背景には、「自分がやりたいことを応援してくれるファンの方がいるから、何事にも恐れずに挑戦できる」思いがあるという。

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