今後のバンタム級戦線の行方、女子の可能性と課題をDEEP佐伯代表が考察【RIZIN.33総評・前編】
まさかの王者・浜崎の敗戦
グランプリ以上に波乱の結果となったのが女子格だった。一番驚いたのは、RIZINスーパーアトム級王者の浜崎朱加が、MMA戦5戦目の伊澤星花に対し、ノンタイトル戦とはいえ、TKO負けを喫したことだろう。
「(浜崎は)そこまでモチベーションが上がっていなかったと思うんですよ、間違いなく。彼女からすれば自分と切磋琢磨してきたような選手とやりたかったと思うし、外国勢が入って来られない中で、5戦目の選手が大みそかになぜ私の相手なの? っていう部分はあったと思う。でも浜ちゃんは絶対に試合のオファーを断らないので」
浜崎目線で見た場合はそうなるが、これが勝った伊澤目線で見た場合はどうなるのか。
「次、どんな結果になるしても、それを受け入れて総合をやっていけば、すごい選手になることはわかりましたよね。ただ、これ、わからないのは、格闘家も環境やモチベーションだったりで変わるんですよ。『この人は大丈夫』と言っても3年後は誰にもわからない。それでも今のままいけば恐ろしい逸材ですよね。一つ言えるのは(10月にDEEPで)パク・シウ選手とやったのがよかったんじゃないかなと思う」
パク・シウ戦では、反則の顔面蹴りを受けながらも伊澤が勝利したが、なぜか勝った伊澤がリング上で号泣するという不思議な試合だった。
「あの試合は(浜崎が所属する)AACCを油断させたかもわからないですね。あの試合も圧倒的に勝っていたら、浜崎選手の戦略も変わっていたかもしれない。だから、あんまり一個前の試合がどうだったかを参考にするとうまくいかないケースがありますから(苦笑)。ただ、伊澤選手は今回の大みそか、あれだけの大舞台に出て堂々としていられるのは、彼女の性格だと思いますね。(伊澤は)グラップリングのタッグの試合をやった時も次々と一本を極めていた。かつての浜ちゃんとだぶりますよ」
「Yogibo Presents RIZIN.33」では女子格のもう一つの試合、RENAVSパク・シウ戦があった。
「今回50キロ契約でやったけど、それはパク選手からすると不利なんです。それでもRENA選手とやりたいと思って受けた。ただ、結果的に微妙な判定だったのは分かるとして、負けたRENA選手側から『再戦を』と言われても、それだったら知名度のある選手の言い分が全て通ってしまうことになる。これが浜崎VS伊澤みたいに、浜崎選手が次はタイトルを懸けて、というなら分かるんですけどね」