設立50周年の王道・全日本プロレスの先頭に立つのは? 群雄割拠の戦国時代に突入か

ジェイク・リーの負傷欠場によりベルトが返上され、3冠王者不在という非常事態の中で始まった全日本プロレス2022年の闘い。新王者は世界タッグ王座を奪取した諏訪魔、芦野祥太郎と宮原健斗、本田竜輝の4人による王座決定トーナメント(1・23後楽園ホール)で決することになった。

要注目の兄・優馬(左)と弟・亮生の青柳兄弟【写真:柴田惣一】
要注目の兄・優馬(左)と弟・亮生の青柳兄弟【写真:柴田惣一】

青柳優馬&亮生の兄弟が全日本のキーパーソンとなるか

 ジェイク・リーの負傷欠場によりベルトが返上され、3冠王者不在という非常事態の中で始まった全日本プロレス2022年の闘い。新王者は世界タッグ王座を奪取した諏訪魔、芦野祥太郎と宮原健斗、本田竜輝の4人による王座決定トーナメント(1・23後楽園ホール)で決することになった。

 世界タッグ防衛戦で芦野に敗れた青柳優馬は名乗りを上げそこなったが、創立50周年の全日本のキーパーソンとなりそうなのが、優馬であり青柳の弟・亮生の青柳兄弟である。

 兄の優馬は陰湿、弟の亮生はあざとさをテーマに掲げ、ファイトスタイルはもちろん、その舌鋒も鋭い。いわゆる王道スタイルとは一線を画している。

 対戦相手をおちょくり小バカにし、ファンを煽り、会社にも「偉そうにスーツ着ている奴ら、死ぬまで後悔しやがれ」。新たに入団した芦野を指して「全日本プロレスはいつからゴミ拾いになったんだ」などと厳しい言葉を浴びせかける。その言動は波紋を呼び、今までには考えられない、王道マットらしからぬ立ち位置で注目を集めている。

 中でも兄の優馬の存在感は高まるばかり。ジュニアの若手時代は地味で目立たぬ存在だったが、体も態度も大きくなった今ではファンは元より、レスラー仲間や関係者から良くも悪くも、その名前がしょっちゅう飛び出す。

 四天王プロレスを目にしてきたオールドファンの一部からは、すかしたりよけたりするなど変化球を駆使する試合運びや死んだふり、「ざまーみろ」「バーカ」などというコメントは不評だが、若いファンを中心に「面白い」「今までにない」と新鮮さが受け人気を呼んでいる。

 道場で若手選手のコーチも務めており、団体としても若きリーダーとして期待されている。新人時代にはDDTに移籍した秋山準社長の付き人を務めていた。馬場さんから直接、指導された最後の世代である秋山の薫陶を受けている。「全日本伝統の受け身の技術を継承している。秋山さんが熱心に指導していた。ぜひとも、つないでいってほしい」という声を聞いた。優馬は秋山を通じて王道の神髄を注入されたといっていいかも知れない。優馬の後を追って全日本に入団した弟・亮生も兄からいろいろと教わっているはず。

次のページへ (2/3) 全日本は群雄割拠の時代へ
1 2 3
あなたの“気になる”を教えてください