世界的ダンサー・菅原小春が「いだてん」に込めた「魂」の演技 開拓者として見出す表現論

「いだてん」に出演の菅原小春
「いだてん」に出演の菅原小春

演技を通して見つけた表現の核心 「体と心を通して何か伝えられると思った時、また女優をやりたい」

--演技に取り組んだことで、ダンスに還元できる部分はありますか。

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「実は昨年に、ダンスの部分で一つの節目というか、ここまで来たら踊り切ることはもうないかな、と思うことがありました。そんな時にいだてんに出合ったのです。お芝居でいずれやってみたいと思うようになったことがあります。ダンサーだから体が動くというお芝居や作品より、ずっと座っているだけで成り立つような。動かないくせに『この人ダンサーなんだな』と思われるようなお芝居ができたらいいです。ダンスも同じなんです。一個一個の細胞を駆使して祈るように踊る。そうすると疲れてしまうんですけど、そうではない。ステージに立った時に一点を見つめるだけ。照明が当たって、右に顔を向けただけ、それだけでダンスだと言われるような。演技でもダンスでも、自分が見せたい、表現したいのはそこなんだなと通じる点を見つけました」

--人見絹枝さんは女子スポーツの草分け的存在です。女子スポーツの始まりを演じてみてどうですか。

「人見さんは女子スポーツを開拓した人です。私も(目指す分野を)開拓をしていきたい。同じ思いを持っているのだと思っています。私の世代や私より若い世代の人たちに、もうちょっと自分には魂があるということを気付いてもらえれば。そう思って欲しいので、ドラマを見てもらいたいです」

「いだてん」【写真提供:NHK】
「いだてん」【写真提供:NHK】

--これから女優としても活動していきたいという思いは沸きましたか。

「演技は面白いです。ダンスは常に面白くはないので(笑)。大好き過ぎてしまって、つらいので大嫌いなのですよ。でも演技は面白がって、余裕を持ってできます。『自分の畑じゃない』と言うと悪いですけど、そう思えばリラックスできるのです。これから自分が共鳴できる人見さんみたいな人に出合えた時、これは自分がチャレンジして魂を燃やす意味があって、私の体と心を通して何か伝えられるものがあると思った時に、また女優さんをやりたいです」

□菅原小春(すがわら・こはる)1992年2月14日、千葉県生まれ。27歳。幼少期からダンスを始め、才能を開花。2010年に渡米し、独創的なダンススタイルを確立した。振付師としても活躍する。昨年大みそかのNHK紅白歌合戦では、シンガーソングライター米津玄師の「Lemon」歌唱時にダンスで共演したことが大きな話題を集めた。

(ENCOUNT編集部・吉原知也/Tomoya Yoshihara)

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