ASAYANと虹プロから見る時代の変化 テレ東Pが語るオーディション番組ブームの背景

オーデイションと連動させるテレビ番組が増えるなか、テレビ東京は「~夢のオーディションバラエティー~Dreamer Z」(毎週日曜、午後9時)をスタートさせた。この番組は「ASAYAN」(あさやん)の系譜を受け継ぎ、Z世代の若者に夢と希望を与え未来のスターを発掘していくオーディションドキュメンタリー。いまなぜオーディション番組がブームとなっているのか。同番組の伊藤隆行プロデューサーに聞いた。

「Dreamer Z」は「ASAYAN」の系譜を受け継いだオーディションドキュメンタリー【写真:(C)テレビ東京】
「Dreamer Z」は「ASAYAN」の系譜を受け継いだオーディションドキュメンタリー【写真:(C)テレビ東京】

「ASAYAN」を昇華させたオーディション番組を企画したら面白い

 オーデイションと連動させるテレビ番組が増えるなか、テレビ東京は「~夢のオーディションバラエティー~Dreamer Z」(毎週日曜、午後9時)をスタートさせた。この番組は「ASAYAN」(あさやん)の系譜を受け継ぎ、Z世代の若者に夢と希望を与え未来のスターを発掘していくオーディションドキュメンタリー。いまなぜオーディション番組がブームとなっているのか。同番組の伊藤隆行プロデューサーに聞いた。(取材・文=鄭孝俊)

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――かつての「ASAYAN」の枠でオーディション番組をこのタイミングで復活させた狙いは?

「『ASAYAN』は私が入社した1995年の10月から2002年3月まで続いたゴールデンタイムのバラエティー番組で鈴木亜美やモーニング娘。、CHEMISTRYらトップスターがどんどん生まれました。テレビの影響力を感じましたし、テレ東としてもこだわりや思い入れのある番組です。そこで改めてマスコンテンツとして誰にでも知ってもらえる番組、コンテンツメーカーとしてどの世代にも面白がって見てもらえて、大きなうねりとなるような番組を提案、提示したいと思いました。エンターテインメントとしてはいろんな選択肢がありましたが、実際に私は『ASAYAN』のディレクターとして演出に関わっていましたし、令和のこの時代に『ASAYAN』を昇華させたオーディション番組を企画したら面白いのでは、という思いを強くしました」

――オーディション番組関連では具体的に何を担当しましたか?

「特に思い出に残っているのはモーニング娘。の6期メンバー決定特番です。私は本人とご家族の間に入って演出を担当していました。レッスンにはボイストレーナーとダンスの先生に入ってもらい、道重さゆみ、亀井絵里、田中れいなの3人が選ばれました。プロデュサーのつんく♂さんに言われて彼女らの前で『今回は3人とも合格です』と伝えたのは実は私なんです。ただ発表後、3人とも30秒ほどずっと沈黙なんです。何のリアクションもなくつかみどころもない。スタジオにいた現役モー娘。メンバーが不思議がる姿が放送されました。スタッフが部屋から出て行った後にやっと『すごいうれしい』と反応していましたが、世代が違うとコミュニケーションをとるのが難しいなと思いましたね。今でもあのシーンは理解できません(笑)」

――プロデューサー、トレーナー、オーディション参加者の姿を番組として見せていくという点では日韓合同ガールズグループ・IZ*ONEを生んだ韓国Mnetのオーディション番組「PRODUCE 48」や9人組ガールズグループ・NiziUを生んだ「虹プロジェクト」の先駆けのように見えます。

「そうなんですよ。韓国の音楽事務所の方ともお話ししたことがありますが、『やっぱり韓国発のオーディション番組の原点は“ASAYAN”だよね』って言ってくれますし、テレ東が世界に先駆けてそのような番組を作り出したと思っています。放送の最初の頃はなかなか受け入れられなかったですが、オーディション参加者が涙を見せたり努力して壁を乗り越えたり成長していく姿を見せることで視聴者の皆さんが感動したり、推しメンバーを作ってくれたりした。現在、大ブームになっているオーディション番組の原型はすでに20年前に誕生していた、ということです」

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