27年前の伝説“1億円トーナメント”の舞台裏 仕掛け人が激白「決勝は高田×前田になったかも」

現時点での「Uの正統後継者」

 当時、Uインターには高田延彦をエースに安生洋二、高山善廣、桜庭和志らが道場で汗を流していた。

「私は最高の歴史の証人。聞きたいことがあるヤツは私の所に来たら、記憶の限り細かいことまで教えてあげますよ。全部観て来ているから。私は真実を教えてあげたいだけ。日本の格闘技界がどうなっていたのかは、ちゃんとこの目が見ているから」

 鈴木氏の傍で、そんな話に聞き入っていた中村が口を開いた。

「Uインター最高ですね! 今の現役選手で一番Uインターの影響を受けているのが自分だと思っているので…、絶対そうだと思っています。人生全てがもう…!!」

 かなりの酒が入った状況ながら、中村は何度も鈴木氏と握手を交わしているが、後日、話をすると、まったくその晩の記憶はないという。

 ともあれ、最近は「他流試合」にも臆さず果敢に挑んでいくプロレスラーが少なくなった。確かにプロレスの看板を背負っている限り、負けた時に失うものは計り知れない。実際、高田がヒクソン・グレイシーに敗れた時(97年10月11日、東京ドーム)がそうだった。それでも高田は立ち上がり、その弟子たちはその背中を見ながらプロレスラーの強さを見せて行った。最近では中村をはじめ、関根“シュレック”秀樹、宮本和志、奥田啓介と、徐々にRIZINでもプロレスラーの名前を見かけるようになった。

 時代錯誤といわれるかもしれないが、本音を言えば「他流試合」で結果を残してこそ、真のプロレスラーとして称えられるのではないか。そういう意味では中村大介こそ、あくまで現時点では「Uの正統後継者」と言って差し支えない気がする。

 実際、中村はUが好きすぎて、東京・北千住に「夕月(U好き)堂本舗」なる道場まで開いてしまったくらい。

 そんな話を知ってか知らずか、鈴木氏はプロレスラーに関する自身の見解を述べていく。

「私はね、『プロレス』っていうカテゴリーはあんまり好きじゃないけど、必死に頑張って強くなろうとして、本当に強くなっていっているプロレスラーのことは好きなんだよ」

 この11月からはようやく通常営業に戻った市屋苑。鈴木健氏も病み上がりながら、厨房で煙にまみれつつ肉を焼き続ける生活を再スタートさせた。連日盛況でうれしい悲鳴をあげている。

「世の中には客離れをしている店もあるって聞くけど、ウチは来る人がみんな、『待ってました!』って言ってくれるね」

 Uの流れ・歴史・事件を全て把握している「歴史の証人」の鈴木氏。興味のある方は是非、市屋苑を訪れてみては――。

次のページへ (7/7) 【動画】Uに関する衝撃エピソードが語られている実際の動画
1 2 3 4 5 6 7
あなたの“気になる”を教えてください