大ヒット作「イカゲーム」EP8解説 「最後の晩餐」と三角形の謎と兄弟対決という伏線

ついに覆面を取ったフロントマン、驚きの正体

 さて、「イカゲーム」の名刺を残したまま行方不明になった兄を探すため会場に潜入した警察官のファン・ジュノ(ウィ・ハジュン)は、参加者名簿を探し出しそこに兄の名を見付けた(第5話)。ジュノは今度はVIPの接待係になりすましてVIPがくつろぐ特別室に潜り込み、隠し持ったスマホで証拠を集めていく。

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 性的奉仕を求めるVIPに拳銃を突き付けゲームの全容を聞き出したジュノは逃亡を図るが、フロントマンに追いつかれ絶体絶命のピンチ。ジュノに撃たれ覆面を取ったフロントマンは、実の兄ファン・イノ(イ・ビョンホン)だった。衝撃の兄弟対面となったが、イノはジュノに発砲。ジュノは海へ落ちていった。

 実はイノは2015年に開催された「イカゲーム」に参加し優勝を果たしていた、という驚愕(きょうがく)の設定となっている。ナンバーは132番で経歴書には元警察官であることが明記されていた。なぜイノは正義を守る警察官から残忍なデスゲームの運営に関わるようになったのか。同ドラマ最大級の伏線が張られた。

 パート2の制作が決定したらイノに関する謎解きが本編で描かれていくのだろうが、現時点では想像するしかない。(1)なぜ警察を辞めたのか (2)どのような動機でゲームに参加したのか (3)優勝賞金は何に使ったのか (4)大金を所持しているのになぜ家賃を滞納しているのか (5)どういう経緯でゲームの運営側に加わったのか (6)イルナムとはどういう関係なのか。これらに対する答えが順次明かされていくだろう。

 さらに、撃たれた弟・ジュノは海へと落下するが、遺体は浮き上がっておらず死亡は確認されていない。兄・イノも故意に急所を外して撃ったように見える。しかも撃つ前に「一緒に行こう。死なせたくない」と発言している。こうしたことからジュノはまだ生きているという筋書きが成り立つ。パート2では再び兄弟対決の場面が期待できるかもしれない。

 興味深かったのは兄・イノが右肩から銃弾を取り出す場面。洗面台の鏡に映っているのは左肩を撃たれた弟・ジュノ。撃たれた部位が鏡の中では同じところで重なっているのだ。鏡の中で見つめ合う兄と弟は、元警察官と現役警察官。この構図にも美的センスが行き渡っている。次回は最終話(エピソード9)を取り上げる。

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