アカデミー賞の行方「ジョーカー」か「パラサイト」か「1917 命をかけた伝令」か
圧倒的な存在感だった「リチャード・ジュエル」のキャシー・ベイツ
<助演女優賞>
◎キャシー・ベイツ「リチャード・ジュエル」
◯ローラ・ダーン「マリッジ・ストーリー」
スカーレット・ヨハンソン「ジョジョ・ラビット」
フローレンス・ピュー「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」
マーゴット・ロビー「スキャンダル」
出番が少ないのに、圧倒的な存在感。それはクリント・イーストウッド監督の「リチャード・ジュエル」のキャシー・ベイツだ。映画は1994年のアトランタ五輪関連の音楽イベントでテロ事件を最小限にとどめ、一躍ヒーローになったものの、その後、マスコミからあらぬ嫌疑をかけられる警備員リチャード・ジュエルの物語。ベイツはリチャードの行く末を心配する母親役を演じた。映画はベイツが出てくると、途端に面白さが増す。さらに、その演技は涙なしには見られない。こちらも、スティーブン・キング原作、ロブ・ライナー監督の「ミザリー」(1990年)では、ミステリー作家の狂信的なファンをおそろしく演じ、主演女優賞を獲得。2つ目のオスカー獲得に期待したい。
<他部門>
他部門ではメイク・ヘアスタイリング賞の「スキャンダル」のカズ・ヒロ(旧名:辻一弘)氏が2度目の受賞なるか。カズ・ヒロ氏は京都出身、1996年に渡米し、大御所ディック・スミス氏に師事し、「メン・イン・ブラック」などの大作のメイクアップなどを担当。その後は現代美術の世界に転身したが、映画界に復帰。主演ゲイリー・オールドマンの特殊メイクを担当した「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」(2018年)では日本人初のメイク・ヘアスタイリング賞を受賞。「スキャンダル」はFOXニュースの創立者のセクハラに対する女性キャスターらの告発を描いたもの。
「パラサイト 半地下の家族」は、国際長編映画賞(外国語映画賞)はほぼ確実。脚本賞も有力。ほかにも美術賞、編集賞で有力候補に。このうち、いくつ受賞なるか。