大ヒット作「イカゲーム」EP6解説 ビー玉遊びは半端ない絶望感、黒幕の正体に重大ヒント

第4ゲームは「ビー玉遊び」信頼できる相手が敵に

 セビョク(067番)の元にはジヨン(240番)が近づき「私と組もう」と話しかける。家族と一緒に暮らすことが夢の脱北者・セビョクが「私はどうしても勝ちたい」と拒否すると、ジヨンは「じゃあ私と組もう。無条件で勝たせてあげる。あらゆる手段で」と約束。これによって2人はペアを組むことになった。この「無条件で勝たせてあげる」の言葉が後で視聴者の涙を誘うことになる。

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 第4ゲームは「ビー玉遊び」。信頼し合ってペアを組んだ参加者たちにビー玉が10個入った袋が配られ、「パートナーのビー玉を全部奪った方が勝ち」とアナウンスされる。つまり、ペアのどちらかが脱落するというわけだ。制限時間は30分。昔の住宅街を再現したセットは温かくて懐かしいのにゲーム内容が残酷過ぎて絶望感が半端ない。

 ジヨンはセビョクに一発勝負を提案。階段に座った2人は身の上話を始めた。セビョクは父親が銃で撃たれて川に流され、母親は公安に捕まって北へ連れ戻されたことや賞金を手に入れたら弟と住む家を買い北に残してきた母親を連れてくると打ち明ける。

フロントマンの正体に関する重大ヒント

 さらに、行きたいところは「済州島」と答えると、ジヨンは「スケールが小さい。ハワイ、いやモルディブに行かないと。モヒートも飲んで。イ・ビョンホンが言っていた。モヒートに行ってモルディブ1杯やろうって」と冗談を飛ばした。これはイ・ビョンホンの主演映画「内部者たち(インサイダーズ)」(15年)の中に出てくるせりふで、当時流行語となったことを受けている。と同時に「フロントマン」を演じている俳優が誰なのかに関する重大なヒントにもなっている。遊び心が詰まったせりふだ。

 一方、ジヨンはある日父親が母親を刺し殺しており、その父親を自分が刺し殺したことを打ち明ける。セビョクは「カン・セビョク」と名乗りジヨンの姓をたずねたが、ジヨンは「そんなのはない」と答える。なぜ名乗らなかったのか。日本もそうだが、韓国も通常、子どもは父親の姓を引き継ぐ。父親から性的虐待を受けていたジヨン。父親への強い拒絶感から姓を捨てた、とも考えられる。

デスゲーム参加は母親のためという共通点

 ビー玉遊びゲームでは人間の本性が露骨に現れた。根は優しいのに生き残りのために狡猾(こうかつ)な手段を使うサンウ。おどおどしながらイルナムにウソをつくギフン。死を選んだジヨンに対するセビョクの涙。この3人に共通するのは家族のために大金を必要としている点だ。

 サンウは魚介の販売店を切り盛りする母親のため、ギフンは糖尿病を患う露天商の母親と娘のため、セビョクは北朝鮮に残した母親と今は南の施設にいる弟のためにデスゲームに参加した。いずれも母親を含んでいるところが共通点だ。現実社会に残した家族を思って必死になっている。ここに日本のデスゲーム系作品との違いが見られる。究極の人間ドラマに打ちのめされる視聴者が続出しているのもうなずける。

 注目のイルナムはギフンにビー玉を渡して自ら負けを選ぶ。脱落者として銃殺される運命だが、ネットでは「イルナムが直接撃たれるシーンがなかった」「血痕が見当たらない」などの観察が上がっている。イルナムの存在がどんどん怪しくなってきた。

 次回は第7話(エピソード7)を取り上げる。

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