【週末は女子プロレス#21】元祖ひきこもりレスラー真琴が自主興行「15年に一度はチヤホヤされたい」

真琴は初めて行うプロデュース自主興行への意欲満々だ【写真:新井宏】
真琴は初めて行うプロデュース自主興行への意欲満々だ【写真:新井宏】

「将来は秋葉原に自分の道場、真琴アリーナを作りたい」

 例えば世界最大の団体WWEのリングに上がる夢を語り、「三田(英津子)さんが大好きです!」と公言。アイスリボンでは手作りのベルトを用意し、団体認定のタイトルとして認めさせた。ほかのレスラーなら絶対にできないようなことを堂々と、なんのためらいもなく主張できるのが真琴というレスラーだった。弱さを武器に独特の世界観で注目を浴びる。前代未聞の連続は、相当な怖いもの知らずとしか思えない。

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「そうですか? ウフフ。私ってホントに公私混同するタイプで、自分の欲求そのままに生きているので、そうかもしれないですね、ハイ」

 最初は嫌だったひきこもり公表も、いまでは「元祖ひきこもりレスラー」とアピールできる。彼女をきっかけに、その後、同じような過去を明かす女子レスラーも現れた。必ずしも最初から強くある必要はない。プロレスには人間を変える力があり、選手の成長をともに見守る。女子プロの醍醐味(だいごみ)が真琴の動向に凝縮されていたのである。

「元祖ひきこもりであることは自負しています。でも、前代未聞や先駆けが多いとは言われてから気がつきました」

 技術面においても、真琴には先駆け的な部分がある。アイスリボン時代からダブルアームスープレックスホールドの美しさには定評があった。当時、みなみ飛香(ひかり)が得意としていた世界一のブロックバスターホールドに触発されたものだ。いまでこそ高角度で美しいブリッジの使い手は多いが、真琴と飛香が何気に隠れたブーム(?)の火付け役だったことはあまり知られていない。

 そんな真琴が「チヤホヤされたいから」と初めて行う自主興行。大会は全7試合で、出場選手はマネジャーの松澤さんも含め、「全部で45人くらいとうわさされています(笑)」とのこと。かなりの多人数だが、「ホントなら60人くらいにしたかったんですけど」と、ここでも実にどん欲だ。真琴主役の肝心のメインには、8人タッグマッチ「真琴&米山香織&春日萌花&朱崇花組VS中島安里紗&松本浩代&中森華子&野崎渚組」を組んだ。チヤホヤされ主役になりたい真琴にとっては非常に厳しいカードではないか。

 大ベテラン米山にはYMZで参戦の場を与えられ、先輩の春日とはPUREーJでタッグ王座、朱崇花ともシードリングでタッグ王座を獲得した。心強いパートナーに囲まれてはいるものの、相手は06年デビューの同期ばかり、いわゆる負けたくないライバルだ。中島や松本がそう簡単に花を持たせてくれるとは思えない。それでも真琴は「みんな空気が読めるので、私を持ち上げてくれるはずです。ぜひ私に勝利させてほしいです」と、変な意味で強気。大丈夫か!?

 大会当日にはゲストも来場予定。そのなかに元クラッシュ・ギャルズのライオネス飛鳥も含まれている。真琴とはこれといった接点がないようにも思えるが…。「あることのつながりで、それがなんであるかは、その日に分かります」。

 なお、真琴の集大成的興行になると思われる今大会、「引退発表もないですし、これが最後(のリング)ではありません」と今後も最前線で闘っていきたいとのこと。15周年を終えれば、次は20周年に向けての出発か。「将来は秋葉原に自分の道場、真琴アリーナを作りたい。食堂を作ってそこにマネジャーの松澤さんを働かせるのが夢です。あと、できたら帯広(さやか)さんにも、そこで働いてほしいです」

 最弱からのスタートにもかかわらず、生涯で初めて一度も逃げ出さなかったのが彼女の誇り。いずれは引退したとしても、プロレスには裏方として関わっていきたいとの思いがある。「占いとかでも絶対に裏方が向いてると出てくるんですよ。自分でも自分で出るより裏で支える方が向いてるかなって思うんです」。

 自主興行をやりたくないタイプでも裏方に向いている。ひきこもりでも前に出て主張する。矛盾点を強引につなげてしまうのが、真琴の真琴らしさ。11・1後楽園は、そんな彼女の15年間を感じ取れる大会になりそうだ。サプライズにも期待!

次のページへ (3/3) 【写真】自主興行への思いをにじませる真琴の別カット
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