RIZINの新機軸「LANDMARK」を考察 問われた報道の在り方 会場にマスコミは必要か不要か

U-NEXTの知名度を高めた配信トラブル

 続いて、開催時間を1時間遅らすことになった配信トラブルにより物議を醸したU-NEXTでの独占配信についてだが、結果的には非常に良い宣伝になったと考えたほうがよさそうだ。

 もちろん、人間には誰しも常に本音と建前が同居しているため、「良かった、良かった」と笑っていられる関係者のほうが貴重な存在になるし、実際、要らぬトラブルで迷惑をかけたユーザーも数多く存在するのだから手放しで喜んでいられるわけはない。

 とはいえ大会当日、会見上に姿を現してコメントした、RIZINの榊原信行CEOの言葉を借りれば、「ポジティブに捉えれば、たくさんのお客様にRIZIN LANDMARKを視聴したいと思っていただけて、アクセスが集中したのが一つの要因でもあった」し、「U-NEXTさんの過去のコンテンツを含め、サザンオールスターズさんやB’zさんのライブ配信があるとのことなんですが、その記録をすべて塗り替える結果を出すことができた」とあることからも、マイナス面はあったが、プラス面がそれを補填していたという側面があったことがうかがえる。

 それでも「過去我々が2002年(8月28日)にK-1さんと一緒に国立競技場でやらせていただいた『Dynamite!』の数字(※10万件と言われる)までには届いてない」(榊原CEO)との言葉が事実なら、当初掲げた10万件には及ばなかったと思われるが、それがもし半分の5万件だったとしても、視聴料金が3800円(税込み)だと考えれば、決して悪くはない売り上げが見込めたに違いない。

 しかしながら昨年はクラウドファンディングまで実施して、ユーザーから支援を求めたRIZINの財政状況が、一気に好転していくかといえば、そこまで甘いとは思えないが、それでも大きなきっかけがつかめたことはうそではないだろう。

 そうでなければ、ここまでトラブったかいがない。というよりも、時間がたてばこれも良い思い出として語られていくはずだと信じたい。

 何より今の世の中、コロナ禍にあって、人々の感情はうっ積しがちな状況にある。そのため、常に何かしらの吐け口を求めているというか、突っ込める対象を探しているように思う。要はどうやって文句を言ってやろうか。そんな見識の方々が手ぐすねを引いて待ち構えているような。

 そう考えれば今回のU-NEXTによる配信トラブルは、格好の標的の対象だったことは間違いがないが、それによってツイッターのトレンド入りを果たし、さまざまな媒体で本件が拡散されたことでのPR効果は絶大だったはず。「さすがはRIZINであり、RIZIN恐るべし」である。また、あえて言うならRIZINを巡るトラブルは、今に始まったことではない。

 さらに言えば、トラブルを恐れて何もしないより、挑戦し続けるほうがはるかに時代性がある。だとしたら、それも含めてRIZINだと思ったほうが建設的ではないか。少なくとも記者はそのくらい余裕を持っていないと、現代社会はストレスだらけで息が詰まってしまうように思う。

 できうることならもう少し冷静に、一歩引いた上で全ての物事を見ていくと、中指を立てるような言葉の暴力が、多少なりともSNS上から減っていく気がしてならない。そんなことを改めて感じた「+WEED presents RIZIN LANDMARK vol.1」だった。

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