RIZINの新機軸「LANDMARK」を考察 問われた報道の在り方 会場にマスコミは必要か不要か

U-NEXTの配信トラブルを謝罪する榊原信行CEO【写真:(C)RIZN FF】
U-NEXTの配信トラブルを謝罪する榊原信行CEO【写真:(C)RIZN FF】

マスコミは必要か不要か

 ちなみに、通常であれば会場で取材し、記事を公開していく取材陣に関しても、今回は現場での取材を認めず、配信での取材に限定。試合そのものは配信先のU-NEXTで視聴し、試合後の選手や関係者によるインタビューに関しては、あらかじめ発行されたURLに選ばれた媒体のみが入ることを許され、試合後のコメントを聞く、という方式が取られた。

 言い方を変えれば、取材陣ですら会場から締め出された格好だ。

 理由としては、今回は会場そのものが狭かったこと。これが理由の一番に挙げられるだろうし、そうでなくともコロナ禍にあるため、なるべく「密」につながることは避けたいのが主催者にかぎらず、一般的な見識になる。

 実際、これは格闘技に限ったことではないが、最近は「コタツライター」と呼ばれる方々が、あらゆるSNSを確認し、そこから記事を作るパターンも増えてきている。いや、むしろそのほうが数字だけを稼ぐのであれば、いわゆるコスパの点を考えると効率が良い、と考える媒体も少なくないのではないだろうか。

 RIZINに限らずイベントを主催する側にしても、実は取材陣に好き勝手なことを書かれるよりは、自身の持つYouTubeチャンネルや公式サイトを通じ、自分に都合の良い情報だけをユーザーに届けたいのが本音に違いない。

 そう考えると、取材陣というかマスコミの在り方そのものが問われていることが、今回の「+WEED presents RIZIN LANDMARK vol.1」の開催によって、改めて浮き彫りにされたことになる。

 もちろん、取材の基本は現場にある。誰がなんと言おうと、そこを譲ったとしたらもうマスコミの存在そのものを否定されたのと一緒。現場の空気や雰囲気、SNSでは決して公にされない選手や関係者の顔色や口調や言動を含め、それらを把握した上でどこまでをどう公開していくのか。そのさじ加減は取材陣個々の見方によって異なるが、そうした空気感が封殺されていく傾向があるのは、もしかしたら時代の流れとしてはあらがえないのかもしれない。

 とはいえ、お互いの信頼関係がなく、現場にも顔を出さず、顔も知らないような取材陣が、仮にコスパと数字を稼げるからという理由で、我が物顔をしているネット上だけを追いかけているようなら、おそらくそんな業界は時間の問題で衰退していく気がしている。

 いや、衰退した結果、全く新たな世界が構築されていくのであれば、それは時代が欲する回答なのだから、率直に受け入れていくしかないだろう。

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