竜王と名人になるということは、免状署名者である期間も長くなるというわけで、将棋界を代表する｢顔｣であることは間違いない。藤井3冠が挑戦する竜王戦には、そのような将棋界の顔を決める戦いという側面もある。同じタイトル戦でも、これまで獲得したタイトルとは重みが違ってくるのだ。既に十分、将棋界の顔と言える藤井3冠ではあるが、竜王を獲得して正式に免状署名者となって将棋界の代表者になれるかはまた意味合いが違ってくる。当然、力が入るだろう。

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　ちなみに、竜王と名人の2大タイトル、この2つを同時に保持した棋士は驚くほど少ない。それだけ、獲得するのも防衛するのも大変な棋戦なのだ。今回、藤井3冠の対戦相手である豊島竜王は、名人経験者でもある。2大タイトルの獲得経験があることは、豊島竜王が真の実力者であることを証明していると言える。

　豊島竜王は、今年2度タイトル戦で藤井3冠と戦って敗れはしたものの、藤井聡太についての活きたデータを誰よりも持っているとも言える。今回は棋士人生をかけて、なにがなんでも勝ちにくるだろう。竜王戦7番勝負はこれまで数々の名勝負、ドラマを生んできた。そこに新時代の天才棋士、藤井聡太がいよいよ登場する。一体どんな戦いを見せてくれるのか、楽しみは尽きない。