藤井聡太3冠VS豊島将之竜王 7番勝負いよいよスタートの竜王戦 その歴史と賞金額は?

免状を将棋界の財産のひとつと語る真田圭一八段
免状を将棋界の財産のひとつと語る真田圭一八段

竜王になると、江戸時代から続く免状に直筆で署名する

 その竜王戦に藤井3冠が挑戦する。既に3つものタイトルを引っ提げての登場なので、藤井3冠が舞い上がることはないだろうが、最高棋戦であることへの意識は当然あるだろう。7番勝負で2日制。1日目の対局中断時には「封じ手」と呼ばれる手続きがある。持ち時間はそれぞれ8時間。終局する頃には心身共にヘトヘトになる。

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 そんな激しい竜王戦。将棋界では名人戦と並んで「2大タイトル」と称されるが、これをよく表すものとして「免状」がある。将棋界にとってかけがえのない財産である「免状」に、竜王と名人が署名者となっているのだ。

 免状はもともと江戸時代、段位の証明書として時の徳川将軍と名人が連名で署名したもの。将棋を嗜(たしな)む当時の武士たちにとって、将軍と名人の直筆の署名が入った免状の価値は、金銭に置き換えられないほど大変な名誉なものであったのは間違いない。その至上の価値は、その後徳川幕府の終焉(しゅうえん)以降、戦争など激動の時代を経ても失なわれることはなく、現在まで継承されている。

 何より、今日において最も免状の価値を高めているのが、製法を江戸時代と変えていない点だ。高級和紙に、将棋連盟の会長と竜王と名人、この3者が直筆で署名している。署名以外の文は、将棋連盟専属の書の達人が書く。全て手作業だ。製法を変えないのは、免状が、将棋が日本の伝統文化であることを形にした唯一のものであるからだ。

 竜王戦は、元々は十段戦というタイトルを発展させる形で88年に誕生した。十段戦の前身も含めると、名人戦に次いで歴史のあるタイトル戦でもあり、その創設時から免状の署名者に竜王が加わることになった。これはつまり、歴史と格式のある免状をこれからの時代に紡いでいこうという決意の表れであり、以降名人戦と並んで2大タイトルと呼称されるようになったわけだ。

次のページへ (3/3) 豊島竜王は藤井3冠の活きたデータを誰よりも持っている
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