藤井聡太3冠VS豊島将之竜王 7番勝負いよいよスタートの竜王戦 その歴史と賞金額は?
藤井聡太3冠(19)が挑戦する竜王戦がスタートした。対戦相手は今年既に2度、タイトル戦で対峙(たいじ)した豊島将之竜王(31)だ。今回は、竜王戦がどんなタイトル戦なのかを解説したい。
若くて実績の少ない棋士にとっては「ドリーム棋戦」
藤井聡太3冠(19)が挑戦する竜王戦がスタートした。対戦相手は今年既に2度、タイトル戦で対峙した豊島将之竜王(31)だ。今回は、竜王戦がどんなタイトル戦なのかを解説したい。(文=真田圭一)
竜王戦は読売新聞社と日本将棋連盟が主催する、現在8つあるタイトル戦の中で序列1位の格付けの最高位の棋戦だ。これはタイトル戦の中でも契約金が最高額であることに由来する。また、竜王獲得(または防衛)の賞金額をはじめ、細かく賞金額が設定、公表されているのも竜王戦ならでは。優勝賞金は4400万円。そして、七番勝負の敗者の賞金は1650万円。つまり、竜王戦を制すれば、その瞬間に4400万円を獲得することが決まり、敗れればその半分以下の1650万円しか得られないことが決定する。この差は大きい。
歴代竜王は超一流棋士がズラリと並ぶ。一方、若くて実績の少ない棋士でも、勝ち上がれば青天井式に賞金額が上がっていく仕組みになっている。このことから「ドリーム棋戦」「竜王ドリーム」等と呼ばれることもある。全ての棋士が最も注目し、力が入るタイトル戦だ。私自身は25歳の時に体験させてもらっているが、棋士としてこれほど冥利に尽きることはない。
よって、戦いは熾烈(しれつ)だ。タイトル戦の期間は10月~12月だが、その挑戦者になるまで1年近くかけて竜王ランキング戦と、それを勝ち抜いた棋士による本戦トーナメント戦を勝ち抜かなければならない。私はプロになりたての1993年度に初挑戦し、97年度に挑戦者になった。そのときの第1局は、オーストラリアのゴールドコーストで行われた。海外対局も頻繁に行われているのだ。その時の相手は谷川浩司竜王(59)で、言わずもがなの大棋士。結果は4連敗で全く歯が立たなかった。