「シン・仮面ライダー対庵野秀明展」合同記者会見が30日、東京・六本木の国立新美術館で行われ、庵野氏が脚本・監督を手掛ける映画「シン・仮面ライダー」（2023年3月公開）で、池松壮亮が本郷猛役、浜辺美波がヒロインを演じることが明らかになった。

　庵野監督のすべてを網羅した世界初の展覧会「庵野秀明展」（10月1日から12月19日まで）が行われる国立新美術館を会場にした会見では、縦5メートル×横10メートルの高精細LEDビジョンに、往年のライダーのタイトルバックにオマージュを捧げて製作された最新のプロモーションが初披露され、バイクでの登場シーン、変身ベルトのアップ、蜘蛛男の姿などが映し出された。

　サプライズ・ゲストとして登場したキャスト2人だが、池松は右足首に包帯を巻き、痛々しい松葉杖姿。「アクション練習で靭帯部分を痛めてしまい、『1週間足をつくな』と言われています。ちょっとだけ改造手術に失敗したけど、撮影には支障がないと書いてください」とジョークを交え、アピール。浜辺は「仮面ライダーが小さいころから大好きで、希望の存在でした。現場に入るのに緊張しています」と話した。

　池松は1年前に話をもらったと明かし、「オーディションのとき、外国にいたので、間に合わなそうだったので、Zoomで参加しました。Zoomって素晴らしいなと思いました。ワクワクしました。軽々しく引き受けられない。自分も力を出せたら」と意気込み。

　庵野氏は「池松君はオーディションでよかった。（初代とは）違う本郷猛になってくれる。ヒロインをどうしようというときに、飾ってある東宝カレンダーを見たら、浜辺さんでした」と明かすと、浜辺も「経緯は聞いていなかった」とびっくり。「カレンダーを発行した甲斐がありました。8月でよかった。（庵野さんの）いろんなドキュメンタリーを見ていたのですが、実際の庵野さんは、優しい声色で安心。説明も丁寧でした」と話した。

　詳しいストーリーは明かされていないが、「バッタ（仮面ライダー）とクモ（蜘蛛男）は出ます。あとはナイショです。ぼちぼちになっていくと思います」と庵野監督。台本については「とても興奮しました。温故知新もあって、今の社会、世界の問題があって、とにかくカッコ良い」（池松）、「四幕に分かれているのに驚きました。ページをめくるごとに興奮がありました」（浜辺）。

　仮面ライダーへの思いを聞かれると、池松は「90年生まれなので、平成ライダーに夢中になりました」といい、浜辺は「小さい頃から好きでしたし、弟が7歳下なので、毎年映画を見に行っています。今も戦う理由を見つける姿に勇気をもらっています」。庵野監督は「魅力は怖さとカッコ良さ。昔のテレビは真っ黒で、何が起こっているか分からないけど、カッコいい。初代、2号を見て、アマゾンあたりから時々になったが、ほとんど見ていた。クーガ、アギトもいい。平成ライダーでは、555（ファイズ）にハマった。カブトもカッコいい。今のライダーはテレビでは見ていないが、配信では見るようにしています。アクション、音楽、効果音がいい。言いすぎると、これ以上言うと、マイナーの方に行ってしまう」と仮面ライダー愛が止まらないようだった。

　世界初の展覧会「庵野秀明展」をいち早く内覧した池松は「時間が足りなかった。ものすごい数。庵野さんの頭の中、部屋の中が見られる。ゴジラ、ウルトラマン、仮面ライダーの3つ並んでいた」と言うと、浜辺も「すごいコラボでした。ミニチュアがあって、とても楽しかったです」。庵野監督は「一部なんです。残っているものをかき集めているので、初日が一番少ない」と明らかに。

　これから始まる撮影に向けては「けがに気をつける。半年前から型取りして、製作の経過を見たことが庵野秀明展を直で見せてもらったような感覚でした」（池松）、「挑戦したことがないことがあるので、理解を深め、庵野秀明さんにしがみついて撮影に参加したい」（浜辺）。庵野監督は「観客が『これはいい』と思える作品を作りたい。日朝（日曜朝放送の現行シリーズ）とは違うラインで、『やってよかったね』と言われるものを作りたい」と表明した。