新コスチュームでN-1に臨んだ「日本プロレス界の超新星」 長いトンネルからついに脱出か

「ノアの至宝」清宮海斗が復活ロードを着実に進んでいる。

練習着も黒くなった清宮海斗。不退転の覚悟を固めている【写真:柴田惣一】
練習着も黒くなった清宮海斗。不退転の覚悟を固めている【写真:柴田惣一】

「N-1 VICTORY 2021」ベスト4が決定、Aブロックを勝ち残った清宮

「ノアの至宝」清宮海斗が復活ロードを着実に進んでいる。

 16選手が4ブロックに分かれて、優勝を争う「N-1 VICTORY 2021」もベスト4が決まった。死のグループと言われたAブロックを勝ち残ったのは清宮だった。

 杉浦貴、征矢学を下し、武藤敬司との“決定戦”に臨んだ清宮。武藤にはここまで2連敗を喫していた。長いトンネルからなかなか抜け出せないのも、武藤との世代闘争という高い壁をなかなか乗り越えられないことが大きかった。

 3度目の正直も30分時間切れ引き分けと勝てなかったが、ブロック1位を確保。結果はもちろん、内容でも武藤を繰り返しジャーマン・スープレックスで叩きつけるなど、過去2回の黒星を糧とした攻めを披露して、武藤に「しぶとくなっている。研究していた」と言わしめた。

 武藤との“3番勝負”で、清宮が成長したことは間違いない。くしくも、ヘアスタイル、コスチュームを一新。黒髪になり、黒を基調としたロングタイツで闘っている。いい意味でよろいを一枚、脱ぎ捨てたことで、より等身大の清宮海斗に近づいた気がする。

 思えば、清宮は武藤が乗り込んでくる前、2018年暮れにGHCヘビー級王座を獲得。デビュー3年、22歳にしてノアの頂点に君臨した。19年は王座を守り抜き6回の防衛を重ねた。20年始めにベルトを失ったが、ノアいや日本プロレス界のスーパーノヴァ(超新星)らしい大活躍だった。

 王座転落後、スランプ気味だった清宮に追い打ちをかけたのが武藤だった。21年2月にはGHC王座を戴冠。6月に丸藤正道に王座を譲ったものの、ノアマットにベテラン旋風を呼び込んだ。

 あげくの果ては、ケンドー・カシンに「ケアハウスNOAH」呼ばわりされるベテラン王国が完成。今回のN-1でも武藤はもちろん杉浦、望月成晃、カシン、桜庭和志、田中将斗、斎藤彰俊、船木誠勝、藤田和之らベテラン軍団が大暴れしている。

 最終的には、ベスト4対決は清宮VS拳王、中嶋勝彦VS船木と決定。現世代が3人残ったものの、ベテラン勢の口八丁手八丁に、かき回されたのは紛れもない事実である。3人の生き残りで現世代がやっと五分五分に戻したところだろう。

「俺しかいないだろう」と拳王、中嶋は自信をほのめかしている。1人、生き残ったベテラン・船木は「今一番アブラが乗っている選手と闘うのは、こちらも試される」と冷静に捉えている。10月3日、東京・後楽園ホール大会の決勝トーナメントに向け、きっちりと仕上げてきそうだ。

 清宮は「あと二つ。もう一度、オレが(天を見上げ)ここに、必ず立って見せる」と天下取りを宣言。武藤への悔しい思いをいったん封印し、N-1制覇を誓った。その先にはGHC王座奪還がある。

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