デビュー40周年を記念して集結した伝説のロックンロールバンド「横浜銀蝿40th」が、12月31日をもって期間限定の活動を終える。37年ぶりに銀蝿のカリスマ、ギターのJohnnyが戻ってきて昭和世代は熱狂した。しかし時はコロナ禍。満足いく演奏活動ができない中、起死回生のニューアルバム「ぶっちぎり249」を完成させた。全曲カッコいいのひと言。おまけしゃれもツッパリもあって、これぞ「横浜銀蝿」という作品だ。彼らの2年間の活動で、日本中の元不良たちや、コロナ禍で毎日歯を食いしばって暮らしているファンがどれだけ励まされたことか。このまま活動を休止させるわけにはいかない。そんな思いでボーカルの翔とギターのJohnnyに直談判した。（インタビュー・文＝福嶋剛）

――翔さん、Johnnyさん！　なんとか活動終了を撤回していただけませんか？

翔＆Johnny「アハハハ（爆笑）」

翔「一発目の質問がそれかよ（笑）。今年いっぱいはやるからまだ時間あるって」

――もちろん分かっています。でも来年は？

翔「ないって（笑）」

――今回の大復活で、コロナ禍で大変だけどもう一丁頑張ってみようって力をもらった昭和世代がたくさんいるはずなんです。私たち50代も当時小中学生でライブには行けなかったのですが、お茶の間で不良のロックンロールを教えてくれたのがビートルズでもキャロルでもなく銀蝿でしたから。鼻歌でロックンロールが歌えるなんて後にも先にも銀蝿だけですよ。

Johnny「確かにそうだよね。『ザ・ベストテン』とか『歌のトップテン』『夜のヒットスタジオ』とかテレビにたくさん出てたもんね」

翔「ほかにも『8時だョ!全員集合』や『欽ちゃんのどこまでやるの!』にも出たし。当時は校則で横浜銀蝿のコンサート行くと停学って学校もあったし、コンサート会場には暴走族は集まってくるし、補導員の先生はいっぱいいたし、お巡りさんも会場を囲んでいるし。そんなところに小中学生やJohnnyの女性ファンは行けなかったからね。だからみんなレコードを買ってくれたんだよね」

――はい。当時と変わらない元気な姿でようやく集結した4人なのに残りあと数か月だなんて切なすぎます。きっとそう思っているファンも多いと思います。

翔「分かるよ（笑）。気持ちは分かる。本当にありがたいし、うれしい話なんだけど、基本的に俺たち不良ってさ、ゴールが決まってないと走れないのよ。きっとゴール地点が見えないとダメなんだろうね。『T.C.R.横浜銀蝿R.S.』（※1）が、1980年にデビューした時も、最初は2年間で完全燃焼って言って、デビューするときに『2年後にやめます！』って宣言して活動してきたグループなの。しかも2年間でシングル1位、アルバム1位、日本武道館を満タンにしますってレコード会社と約束をしてデビューした。だからファンのみんなも俺たちが2年でやめるって分かっていたんだけど、結局その2年間でアルバム1位を取れて、日本武道館も満タンになったんだけど、シングル1位だけが取れなくてね。悔しかったから『もう1年だけ延長してダメだったらやめる』って宣言して。そしたら最後にシングル1位を取れて、それで公約通り83年の12月31日に解散したんだよね」
（※1）横浜銀蝿の正式名称。THE CRAZY RIDER 横浜銀蝿 ROLLING SPECIAL。

――はい。覚えています。

翔「それで、あれから37年たって、40周年を迎えるにあたって、オリジナルメンバーのJohnnyが戻ってきて、一緒に『横浜銀蝿40th』としてやろうと。とりあえず1年間とにかく楽しもうと決めたんだよ。俺たちはこれまでも横浜銀蝿リターンズ（※2）としてJohnny抜きでやってきたけど、今やJohnnyは音楽業界では有名なレコード会社の社長（※3）だから1年間限定でやろうと決めて。そして、当時見たくても見れなかったファンにJohnnyが戻ってきたオリジナルメンバーのステージを見せてあげたいって思ってね。きっと最高のプレゼントになるし、みんなで一緒にお祝いしようと。それが今回の発端なんだよね」
（※2）THE CRAZY RIDER 横浜銀蝿 ROLLING SPECIAL RETURNS
（※3）ベルウッド・レコード株式会社 代表取締役社長

Johnny「きっと俺たちは期限があるから輝けるんじゃないかな。ダラダラやって熱量を10年間に分散するんだったら、その熱量を1年間にぶつけて行った方が自分たちも見てる人も充実するんじゃないかなって」

翔「さすがにコロナ禍でツアーやらずに終了することは出来ないから1年延長したんだよね。だからこれからもやって欲しいと言ってくれる気持ちはうれしいし、もちろん長く続けているバンドもあるけど、俺たちはゴールが決まっているから全力でぶっ飛ばせるっていう集まりなんだよ」