RIZINが複数の東京五輪候補との交渉認める メダリスト×元少年院が実現か

2015年末の旗揚げから早くも5年目に突入したRIZIN。昨年末には2大会を聖地さいたまスーパーアリーナで開催し、いずれも超満員の観客を動員したが、視聴率は平均5.2%と過去最低を記録した。テコ入れ策として東京五輪転向組の噂も囁かれる中、榊原信行CEOを直撃! 2020年の目標と戦略を聞いてみた――。

榊原信行CEO
榊原信行CEO

榊原信行CEOに直撃インタビュー

 2015年末の旗揚げから早くも5年目に突入したRIZIN。昨年末には2大会を聖地さいたまスーパーアリーナで開催し、いずれも超満員の観客を動員したが、視聴率は平均5.2%と過去最低を記録した。テコ入れ策として東京五輪転向組の噂も囁かれる中、榊原信行CEOを直撃! 2020年の目標と戦略を聞いてみた――。

ーー東京五輪が開催されることで、格闘技界にとっても影響が出る2020年が始まりました。

榊原「何かしらの変化が出てくると思いますね」

ーーまず年末の2大会を振り返って、良かった点と悪かった点をそれぞれ教えてください。

榊原「良かった点は、会場に熱があったこと。RIZINを4年間やってきましたけど、ファンの人たちが意思を持ってRIZINを楽しんでくれている。要は、ちょっと見に来たよっていう“点”のファンじゃなくて、“線”で観戦し続けてくれているファンの人たちが大晦日は集まってくれたことですね」

ーー確かに会場にもの凄い熱を感じましたね。

榊原「ええ。大晦日は試合開始が15時でしたけど、その段階でもうすでに熱のある会場ができていたことでそれが感じられました」

ーー12月29日に開催されたベラトール・ジャパンはどうでしたか?

榊原「過去にあったUFCやONEの日本大会に比べれば、遥かに人も入っていたかと。また両大会合わせたセットチケットも過去最高の売上枚数を記録していますし、そういうベースのお客さんがいたことも含め、とってもいい大会だったと思います。もちろん海外での評価、アメリカでの評価も高かった。普段のベラトールの大会よりもアメリカでの視聴者数も多かったそうですね。なにせ初めての試みでしたけど、放送事故や進行を含めた大きなトラブルがなかった。そこは、さすがに日本のことを熟知しているスコット・コーカー代表だなと。スタッフも非常に優秀ですよ」

ーーベラトール・ジャパンの一つの売りはエメリヤーエンコ・ヒョードル×クイントン・“ランペイジ”・ジャクソンというレジェンド対決。正直、全盛期の両者を知る者からすると物足りない試合でした。

榊原「多くのファンはそういうノスタルジックな試合よりも、未来のある選手たちの試合を求めていますよね。RIZIN旗揚げの時と比べて、ファンが入れ替わっている実感もありますし。PRIDEやヒョードル、ランペイジなんて知らないっていうファンも多い。それからやはり、ファイターって負けることに照れがなくなったら観る価値はなくなりますよね。厳しい言い方かもしれませんが」

ーー試合後にも榊原CEOは苦言を呈していました。

榊原「ランペイジは素晴らしいキャリアのある選手なんですけど、あの試合に限っては残念でしかなかった。大晦日にあったRIZINのライト級GPに出た選手たちの試合と比べたら、もう段違いでした。やっぱりハングリーさが違う。その点では全てのものを手に入れてしまったレジェンドの2人からは未来は生まれない気がしました」

ーー腹が減っている状況に身を置いていないと未来は生み出せないと。

榊原「そういう意味では、コナー・マクレガーはかなりお腹いっぱいなはずなのに、まだUFCであれだけ(激しい)の試合をやっている。彼は凄い。だから欲の深いファイターのほうが魅力があるんですよね(笑)」

ーープロモーターにとっては大変でしょうけど、「観る側」にとってはそのほうが面白いと。

榊原「食っても食っても腹が膨れない大食漢なファイターじゃないと、世界は動かせない。それがないと夢や希望、迫力や臨場感も伝えられないんだなと」

ーーなるほど。

榊原「年末の2大会でコントラストがついたわけだから、やってよかったと思いますし、自分たちの進むべき道がハッキリ見えた気がします(キッパリ)」

ーー今年の年末も同じ座組みですか?

榊原「それは相手もあることなので軽々には言えませんけど、早急にスコットと相談して決めたいと思います」
 
ーー逆に悪かった点は?

榊原「悪かった点は地上波中継の視聴率(4部編成に分かれ、平均3?5.2%)だけですよ」

ーー2015年末にRIZINがスタートしてから過去最低の数字になってしまいました。

榊原「確かに残念ではあったけど、一喜一憂する必要はないかなとも思います。ただ、今度はもっと戦略的に狙って数字を取っていかないと。PRIDEやK-1が盛り上がっていた頃、特に2003年の大晦日は3局(日本テレビ、TBS、フジテレビ)が格闘技を放送していた。その頃には目新しさやキワモノ的な面白さがあったと思う。それが今は恒例化して、お茶の間にも飽きられている部分があって、今年の大晦日にはサプライズやカンフル剤的なものを注入しないといけない」

ーー4年前には初めて女子格闘技を大晦日に放送したことで、新鮮味がありましたね。

榊原「そこに目新しさを感じた人も多かったと思いますし、2018年の大晦日にはフロイド・メイウェザーが出たことで瞬間最高で12%以上の数字が取れた。今年はメイウェザー以上に、もっと下品でハレンチでいかがわしいことを取り入れるのもいいかもしれない(笑)。『ガキ使』に学ぶことが多いのかなという気がします。ライブではなくテレビ番組としてRIZINを観る時にどうすればいいのか。それを考える必要はあるかなと」
 
ーー来る2月22日には浜松アリーナで2020年最初の大会が開催されます。目玉は70万人超えのYouTube格闘家であり“路上の伝説”と呼ばれる朝倉未来選手。

榊原「そうですね」

ーー年末には「格闘技は年2回」という意向を示していたのに、4月に予定される横浜大会にも参戦し、年4回は試合をする旨を明かしていました。

榊原「本人と年明けに話をする中で、自覚した部分を含め、考えが変わったようですね。YouTuberは5、6年先でもやれるけど、格闘家として勝負できるのはそうそう長くない。今しかやれないことが実はあるわけですから、ここから1、2年はせっかく脂の乗り切ったいい時期を逃さずに、彼のスタイルがどこまで世界に通用するのか。まずはその生き様を刻んでみることを提案したら、彼もそれに乗ってくれた。YouTuberとして本格的にやっていくのは、それからでも遅くないという話はしましたね」

ーーRIZINというよりも日本格闘技界のエース的な自覚を持ち始めたというか。

榊原「そうかもしれないです。格闘技を辞めて「YouTuberです」と言っても、他と差別化できなくなってしまうことは本人もわかっているでしょうし」

ーー本人も、まずは格闘技の実績を出してからYouTubeのチャンネルを開設した旨を公にしていることがその証拠ですね。

榊原「格闘技で世界と向き合っているプロのファイター、そのジャンルのトップアスリートがYouTuberもやっているっていうのが最大の売りで、そこにみんな引っかかりがあったりしたわけでしょう」

ーー開設から8か月で70万人超えは驚異的です。

榊原「この勢いは止まらないと思います。試合の中での勝負所を見極める力もそうですけど、本人の嗅覚はもの凄く鋭いから、その辺りの見極めが今回の選択になっていると思う。周りの評価をわかった上での年間4回という発言なんだと思います」

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