伝統の「いかめし」守る女性社長 レポーターとの“二足のわらじ”は「どちらも本業」
80年の歴史と新しい風でさらなる飛躍 ただ「私はいつ結婚するんだろう?」
阿部商店のいかめしは、昭和16年に生まれ、今年で80年。その伝統を背負っているという責任感が一番強いです。お客さんからも「なくさないでね」と声をかけてもらうことが多いです。小学生のころ、私も森駅に立っていかめしを売ったことがあります。今は特急が減便してしまい、停車時間も20秒程度。お客さんが降りてきて買える時代ではなくなってしまいました。
さらに、コロナ禍で物産展も減り、昨年からはネット通販も始めました。これまでは北海道や物産展でしか手に入らない“希少性”を大事にしていましたし、初代が「絶対にレトルトをやるな」という遺言を残したことで、なかなか通販に踏み出せなかったんです。でも、北海道新幹線が開通したことで、5年前の父の代のときに「お土産に」とレトルトを開発しました。もう世代に合わせてやるしかないですよね。
毎日必死にやっていますが、社長は社員と違って「イヤになったからやめよう」という世界ではありません。まだ社長業を100パーセント楽しめていない部分もあるので、楽しいと思える日々にしたいですね。レポーターも、最初は「向いていない」と落ち込むこともありましたが、今年で6年目のシーズンを迎えます。まだまだ毎回反省、勉強の連続ですが、今は楽しくやらせていただいています。ミスをしたときでも、ただ落ち込むのではなく切り替えて「自分にしかできないから、やろう」という楽しさを、社長業でも見出せるようになりたいです。
最近は、私はいつ結婚するんだろうと考えたりもします。恋愛はしたいのですが、自分のことに必死過ぎて……。でも、将来的には結婚して子どももほしいですし、ライフステージのことも気になってしまいます。旦那さんになってくれる人は全く違う仕事の人がいいですね。いかめしが好きで食べてくれて、私が物産展やバスケの仕事で全国を飛び回っても許してくれて、尊敬できる人が理想です(笑)。
「美人社長」と取り上げていただくことについてですか? 恥ずかしいし、やめてほしいです(笑)。ですが、まだ女性があまりいない世界なので、女性社長として注目していただけるのはありがたいです。お客さんや取引先の業者の方に「これからは女性の時代」と声をかけていただくことも増えました。きちんと結果を出して応えていきたいです。