藤井2冠王位防衛! 序中盤での過去最長長考に秘められたものとは 真田圭一八段解説

真田圭一八段
真田圭一八段

40分考えて挑んだ△7五銀が敗着に

 2日目に入り、50手目△7五銀と決戦を挑みながら、続く▲9七桂に△8四飛と銀損に甘んじる撤退は驚きを与えた。プロなら▲9七桂を見落とすはずもない。推測するに、当然△8四飛では△6六銀▲8五桂△7七銀成と斬り込むのが読みの本線だったはずだ。

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 △7五銀には40分考えている。ここからさらに深堀りすると、前日の封じ手以降、昨晩は相当に読みを入れたのではないか。△7五銀の筋も考えたのだろう。そうした中で、あまりにも多くの変化を考えると、相手の形や手順によって成立する変化と成立しない変化、それらが混同してしまうことがある。豊島2冠は、昨晩からの膨大な読み筋の中で、何か本譜とは別の変化と勘違いしてしまったのではないか。銀損確定の△8四飛に1時間以上かけた苦しい胸のうちは察するに余りある。

 決定的なリードを奪ってからの藤井2冠は、手堅く、手厚くと安全運転そのもの。己の終盤力に絶対の自信があるので、全く慌てたり焦ったりということがない。このまま押し切り、結局△7五銀が敗着ということにはなったが、どちらかといえば力が入り過ぎたが故の失着と言えるだろう。

 これで藤井2冠は王位防衛。棋聖戦に続き、保持する2冠を堅守した。これからは叡王獲得、竜王戦挑戦者に向けてと、タイトルを増やす戦いにステージを変える。これからますます藤井2冠への注目が高まることだろう。

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