東京五輪は無事に閉幕したが、格闘技界では2021年6月から開幕したRIZINバンタム級JAPANグランプリが佳境を迎えようとしている。新型コロナウイルス禍で、外国人勢の来日が難しいとあって、日本の精鋭16人が大みそかに実施される決勝戦を目指すトーナメント戦。優勝候補は前RIZINバンタム級王者の朝倉海だ。昨年大みそかに堀口恭司に敗れ、王座こそ明け渡したものの、一度は堀口を敗戦に追いやった実績はやはり16人の中では群を抜く存在だ。朝倉といえば、前田日明氏が立ち上げた「THE OUTSIDER」出身のファイターだが、今回のグランプリにはもう1人、「THE OUTSIDER」出身のファイターが存在する。“マサカリ殺法”金太郎である。「RIZIN.30」（9月19日、さいたまスーパーアリーナ）では井上直樹と2回戦を争う。試合まで6週間と迫る中、拠点の大阪にいる金太郎をオンラインで直撃。現在の心境を聞いた。（取材・文＝“Show”大谷泰顕）

　金太郎は、中学生のころは1対20の大ゲンカも経験するなど、大阪でその名を知らぬ者はいないほどの不良として街中を闊歩（かっぽ）。14歳で背中に「金太郎」のタトゥーを入れ、16歳で少年院生活を送った。その後、格闘技の世界に身を投じたことで、徐々に更生の道を歩み始め、20年からはRIZINのリングで活躍。6月の1回戦ではグラチャン王者の伊藤空也と壮絶な打撃戦の末、3-0のフルマークで判定勝利し、2回戦へと駒を進めた。

　試合を迎えるに当たり、まず金太郎が恐れているのは、やはりコロナ。大阪でも感染者が伸びているとも報道されるが、金太郎は「週に1度はPCR検査を受けている」ことを明かし、「心配ですね。めっちゃ（感染者が）増えてきているので。でも練習以外は外に出ていないので問題ないかなと思っています」と続けた。

　注目の井上戦に関しては、7月20日にあった記者会見の4日ほど前に、2回戦の相手が井上だと知らされたことを金太郎のYouTubeチャンネル「マサカリチャンネル」で明かしており、「テンションが上がったし、倒しがいのある相手」と相手にとって不足なしと鼻息が荒い。

　井上の戦績を見ていくと、2015年3月にプロデビューを果たして以来、14戦2敗。だがその2敗は19歳という日本人史上最年少でUFCに参戦した際に、海外で記録されたもの。日本では無敗を誇る。

　これに関して金太郎は「日本人に負けてないんじゃないですかね。一発目に倒したいと思っていますね」と冷静に口を開いた。