【愛車拝見】「パリダカ」日本人初総合優勝の篠塚建次郎が普段乗る車に「まったくこだわらない」ワケ

“生涯現役”毎朝1時間トレーニングしているという【写真:山口比佐夫】
“生涯現役”毎朝1時間トレーニングしているという【写真:山口比佐夫】

最初に買ったのは“タク上げ”のプリンスのグロリア

 今、若者が車離れしていると言われていますが、車が嫌いなんじゃなくて、車が買えないんじゃないでしょうか。年収は高くないのに、車の値段はどんどん上がっています。昔は50~60万円で買えた軽自動車でさえ150~200万円ぐらいしますから。車はどんどん高額になり、大型になり、オートマチック化されています。その方が、メーカーがもうかるからでしょうが、それでいいのか、疑問ですね。若者だけじゃありません。日本には近所に買い物に行くときだけに使うような年金生活者だっているのに、何百万円もする車なんて買えませんよ。日本はもっと安くて、小さくて、軽くて燃費のいい車があってもいいと思いますね。

 私が最初に車を買ったのは、大学1年生のとき。もともと乗り物に乗って操るのが好きで、最初は馬。体が弱かったからオヤジに乗馬を勧められて乗り、その後、自転車、バイク、四輪と乗って、トラック運転手のアルバイトでお金をためて、プリンスのグロリアを買いました。“タク上げ”――タクシーだった車だからかなりの走行距離で、金額は覚えていないけれど安かったんですよ。昔から、車種にこだわりはあまりなかったんですよね。通学に乗ったり、江ノ島までドライブしたりしてましたね。

 当時はラリードライバーになるなんて考えもせず、ラリーというものがあることさえ知りませんでした。たまたまラリーをやっている大学の友人に「ナビゲーターをやらないか」と誘われて存在を知って、初めて横滑りするドリフトを経験したら一発でとりこになりました。その後は友人ら10人ぐらいで「自動車クラブ」を作り、授業の後、夜な夜な車をいじってはラリーに出場するようになりました。それが今の私の原点。18歳で大好きなものに出会って、走れば周囲の誰にも負けず、そして今も車と共に生きていられるということは、幸せだなと思います。若い人たちには、ぜひスマホで調べて頭で知ってわかったつもりになるのではなく、実際に体験し体が反応するほど大好きなものに出会ってほしいと思いますね。

次のページへ (3/5) 72歳でも現役でラリーに出場している
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