アニメの中の“幻の車”がまさかの車検通過 原作を超えたナンバープレート取得秘話
原作でもナンバープレートがなくツッコミが入る“幻の車”で改造車試験を通過
サンバルギーニ完成後は、子どものころに憧れたというマッハ号の製作に着手。今度は実物のモデルがない架空のレーシングカーだけに、製作は困難を極めた。試行錯誤の末、FRPで作ったボディーのサイズがマツダ製のオープンカー「ユーノス・ロードスター」とマッチすることが判明。細かく合うように調整し、フレームの上からボディーをはめ込む方式を採用した。
「ボディーはサンバルギーニ同様、まずはプラモデルから寸法を引き延ばしたんですが、自分の中のマッハ号のイメージと比較してどうしても貧弱になってしまう。フォルムが納得いくまで何度も作り直しました。漫画の中でも細かい形状が回ごとにまちまちで、どれを再現すればいいんだろうと(笑)。結局は自分の解釈しだい。みんなが満足するマッハ号ではないかもしれないが、だからこそ私だけのマッハ号になったと思っています」
原作漫画では日常的にナンバープレートを付けず公道を走行していることから、ファンの間でもツッコミが入る「マッハ号」だが、何としても公道を走らせたい福田さんは細かい改良を重ね、ついに改造車試験を通過。競争率が高いナンバー「・555」こそ手に入らなかったものの、「・・55」と記されたプレートを誇らしげに掲げる。
「自分でも、こんなに尖った車体で車検なんか通るのかと思いましたよ。本当はもっと先端が出てるイメージなんですが、やむなく規格内に収めました。ベースのユーノス自体が古い車種なので、ヘッドライトが今の基準より低い位置でも審査を通ったのは運がよかった。バックも見てください。ウインカーは最外側から400ミリ以内と決まっているので、原作のウインカーはバックライトにしちゃって新たにLEDで造ったんですよ」
さらに、メディアに取り上げられた際にも堂々と「マッハ号」を名乗れるようにと、完成初年度にはアニメ制作元のタツノコプロを訪ね、著作権料まで収めたという徹底ぶり。国立で行われたカーイベントに参加した際には、これまで趣味に理解を示してくれた夫人を助手席に乗せ、三船剛のコスプレでパレードしたと目を細める。
これまで改造車にかかった総額を聞くと「総額ですか……。考えたこともなかったな。1000万円は超えてると思いますが……本物の高級車が買えますね(笑)」と福田さん。現在は原作のマッハ号に搭載されているカッターや小型飛行偵察機などの秘密兵器のほか、「マジンガーZ」に登場する小型飛行機「ホバーパイルダー」も電動カートをベースに製作中だという。「おじいちゃんになって車に乗れなくなったときには、これに乗ろうと思ってるんです」。いくつになっても趣味に没頭する人生を楽しむつもりだ。