アニメの中の“幻の車”がまさかの車検通過 原作を超えたナンバープレート取得秘話

滑らかな流線型のボディーに特徴的な「M」のマーク、車体の下から伸びる電動丸ノコのカッター……。レーシングカーを題材に1967年から放送されたテレビアニメ「マッハGoGoGo」で、主人公の三船剛が乗る愛車「マッハ号」を、既製の車を改造して自作してしまった趣味人がいる。さらに驚くべきは、その改造車が正規のナンバーを取得し、公道を走行できるということ。群馬県で自動車整備工場「福田モータース」を営む福田博之さんを訪ねた。

ナンバー「・・55」のマッハ号を誇らしげに指差す福田さん【写真:山口比佐夫】
ナンバー「・・55」のマッハ号を誇らしげに指差す福田さん【写真:山口比佐夫】

軽トラックを改造したランボルギーニ・カウンタックでもナンバーを取得

 滑らかな流線型のボディーに特徴的な「M」のマーク、車体の下から伸びる電動丸ノコのカッター……。レーシングカーを題材に1967年から放送されたテレビアニメ「マッハGoGoGo」で、主人公の三船剛が乗る愛車「マッハ号」を、既製の車を改造して自作してしまった趣味人がいる。さらに驚くべきは、その改造車が正規のナンバーを取得し、公道を走行できるということ。群馬県で自動車整備工場「福田モータース」を営む福田博之さんを訪ねた。(取材・文=佐藤佑輔)

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 福田さんがスーパーカーに魅せられたのは小学生のとき。前橋で行われた展示会で、“スーパーカーの王様”ともいわれるランボルギーニ・カウンタックに目を奪われた。工業高校では自動車研究部に所属。当時から車やバイクをいじり、学校の許可を得て敷地内の校庭を走らせていたという。卒業後は日本自動車連盟(JAF)の職員を経て実家の工場を営む傍ら、趣味の車いじりに没頭。98年にラスベガスで見た世界最大規模のチューニングカー見本市「SEMAショー」をきっかけに、スーパーカーへの情熱が再燃し、以来本格的な改造車製作に着手する。

「車ってこんなに自由に造っていいんだと感銘を受けました。いつかカウンタックが欲しいなと思ってましたが、そうか、買えないのなら自分で造ればいいんだと」

 99年から3年3か月をかけ、スバル製の軽トラック「サンバー」のフレームに自作のランボルギーニ・カウンタックのボディーを合わせた、その名も「サンバルギーニ・コカウンタックLP360」を製作。ボディーはミニカーを採寸し、フレームとなるサンバーの縮尺に合わせて繊維強化プラスチック(FRP)で成型したという。

「左側だけですが、ドアもちゃんとガルウイングで開きます。閉じるとタイヤに干渉してしまうので、ポップアップ式のヘッドライトには苦労しました。実物の縮尺に合わせると本来はもっと車高が低いんですが、それだと私が乗れなくなってしまうので」

 せっかく造るからには、どうしてもナンバーが欲しかったという福田さん。完成当初、自動車検査登録事務所の担当者はまったく取り合ってくれなかったというが、数年後、別の担当者から「フレームをいじってなければ問題ない」と登録を認められたという。アクリル板だと細かい規定に抵触することから、わざわざサイドガラスを厚手のビニールに張り替えるなど、多少の見栄えを妥協しつつも念願のナンバープレートを手に入れた。

「カウンタックをコンビニにつけて、コーヒーを飲むのが夢だった。子どもたちの反応がすごいんですよ。今の子たちはカウンタックを知らないでしょうが、それでもやっぱりこのかっこよさが分かるんですね」

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