【週末は女子プロレス♯5】「傾奇者」名乗るウナギ・サヤカ “女・花の慶次”がプロレスにのめり込んだワケ

空中戦も魅力のウナギ・サヤカ【写真提供:スターダム】
空中戦も魅力のウナギ・サヤカ【写真提供:スターダム】

初観戦のプロレスに衝撃「これ以上のものない」

 上京後、さまざまなオーディションを受けた。やはり過去の経験は審査員の引っかかりとなったが、いざ披露するとなると何もできず悔しい思いが残った。そもそもオーディション会場にはプールがない。チアといってもメンバーを肩に乗せて高く上げるなどパートナーが必要な種目を得意としていた。いくつかの小さな役を獲得したものの、目立つポジションには届かなかった。

「人生の最後にもう1回くらい、ホントに一番頑張ってるんですよと言えることがほしいなと思ってきたとき、たまたま知り合いの人にプロレスやってみたらと言われたんです」

 プロレス!? 当時の彼女にとって、プロレスのイメージといったら悪役の凶器攻撃しかなかったという。「ダンプ松本さんとかアジャコングさんとか、でっかくて顔にペイントしてる人が缶でアタマを殴るとか、そういったことくらいしか分かりませんでした。なので、絶対イヤなんですけど~、みたいな感じだったんですよね(苦笑)」

 ところが、東京女子プロレスのポスターを見て考えが変わる。「こんなかわいい人たちがやってるんだと思って、じゃあやると、ノリではじめたんですよ」。生でプロレスを見たのも練習生になってから。しかしながら、はじめて目の前で見た試合にカルチャーショックを覚えた。「最初は踏み台にしてグラビアとかやっていきたいくらいの感じだったんですけど、はじめて見た試合で感動しすぎちゃって。これ以上のものないなと思って、それ以来、プロレスにドハマりです」

 2019年1月4日に東京女子でデビュー。20年9月末に退団し、同年11月14日にスターダムに参戦、21年4月1日付けで所属選手になった。スターダムでは20年12月16日に中野たむ、同時期に移籍してきた白川未奈とのトリオでアーティスト・オブ・スターダム王座を奪取。シングルでの経験の浅さから今年2月には7番勝負が組まれ、全敗も着実に成長。番外戦とも言えるカードも頻繁に組まれ、特に6・23盛岡での渡辺桃戦はノーマークながらウナギのベストマッチ的内容となった。桃はワンダー・オブ・スターダム王座の最多防衛記録を保持する実力者。全体的には桃が受けて立つ内容も、桃がウナギの成長具合を絶妙に引き出し、ウナギもいまできるすべてを桃にぶつけていく好勝負だった。

 団体恒例の「シンデレラ・トーナメント」には、初出場ながらもルールを巧みに利用しベスト4まで駒を進めた。キャリア3年未満の選手が争うフューチャー・オブ・スターダム王座決定トーナメントでは、最後まで白川とベルトを争った。とにかくスターダムでのウナギにはこれでもかというくらいにチャンスが与えられている。シングルでもユニット闘争でも、与えられた機会を活かそうとウナギも懸命にくらいつく。ウナギこそ、この半年でもっとも成長したレスラーかもしれない。

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