【オヤジの仕事】「モーニングサテライト」出演アナリスト・大槻奈那さんの父はオカルト批判の大槻教授

「父の勉強の教え方はいまいちだった」と父に似て娘も手厳しい【写真:山口比佐夫】
「父の勉強の教え方はいまいちだった」と父に似て娘も手厳しい【写真:山口比佐夫】

テレビでのコメントについて過激なアドバイスをくれる

 父がテレビに出始めたのはその頃から。最初は「お父さん、変なことを言うんじゃないか」と緊張しながら見ていました。だんだん世間に顔や名前が知られ、変な手紙が父宛に送られてきたこともありましたけど、怖い思いをしたことはほとんどありません。家族で食事をしていると、父が「一緒に写真を撮ってください」と頼まれるので、照れくさくもありましたが、誇らしくも思いました。

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 就職については「大学に残って語学の講師になるのも悪くないぞ」とだけ。結局、金融業を選びましたけど、父の影響だと思います。父がけっこう株好きで、大槻家のリビングの書棚には、物理の書籍に交じって株投資の本があり、子供の頃から自然と目にしていたんです。父は私が仕事をがんばっていることを応援してくれていると思います。今でも「テレビに出るよ」と伝えると、ほぼ毎回見て感想を言うぐらいですから。

「『日銀はつぶれるんだ』ぐらい言わなきゃダメだ」なんて過激なアドバイスをくれたりもしますけど(笑)、去年10月に内閣府の規制改革推進会議の委員になったとき、「世の中の弱い人、恵まれない人のためにがんばってくれ」とメールが来て驚きました。そういえば、父は昔から差別とか嘘、ごまかしが大嫌い。人の悪口も言わないんですよ。テレビでは非科学的なことを大胆に、徹底的に批判しますが、人格攻撃をしたことはないと思います。父の書く本がいまいち面白くないのは、人の悪口を書かないからじゃないでしょうか(笑)。

“父の背中"は今も娘にとって大きい

 私は男性が育休をとって、子育てに参加することには大賛成ですね。父が私たち子供と一緒にいてくれたことを、私がこれだけ良い思い出として記憶しているのですから、父親は記憶に残らない赤ちゃんの頃であっても、短期間でも、子供と一緒にいて子育てすることは良いことではないかと思うからです。

 そして、家の自分の部屋にこもって論文を書いたりする父の背中を見て育ったことで、私は“学ぶ”ということを自然にするようになったと思います。一昨年、私は一橋大学大学院の博士課程で行動経済などを研究し始めたのですが、何歳になっても学ぼうという原動力があったのは、まさに父の影響ですね。

大槻教授はゴルフ三昧&ひ孫にデレデレの日々

 父は83歳になりました。元気にしていますよ。60歳を過ぎてゴルフを始めたらすっかりはまり、早稲田大学教授の職を定年前に辞してゴルフ三昧の生活を始めました。それまで運動はあまり好きではなくて、ほとんどやったことがなかったんですけど、やり出したら凝り性で。私も凝り性で、父親譲りですね。

 私には子供がいませんが、兄の息子に子供が生まれ、父には今、ひ孫が2人。ひ孫の名前をつけた基金かなにかを起ち上げたほど、とにかくかわいがっています。許されれば、おむつ替えや入浴もさせてあげたいと思っているんじゃないでしょうか。とにかく愛情深い。父のそんな姿を見ていると、おそらく私が赤ちゃんの頃にもしてくれたのでしょう。ありがたく思っています。

□大槻奈那(おおつき・なな)茨城県古河市生まれ。88年、東京大学文学部卒業後、三井信託銀行(現・三井住友信託銀行)入行。ロンドン・ビジネス・スクールでMBAを取得し帰国後、スタンダード&プアーズ、UBS証券、メリルリンチ日本証券などでリサーチ業務に従事。2016年1月、マネックス証券チーフ・アナリストになり、国内外の金融市場や海外の株式市場等を分析している。名古屋商科大学大学院教授なども務める。

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