【週末は女子プロレス #2】長与千種が語る「GAEAISM」大成功の舞台裏 自団体の敗北に悲観なしのワケ

「一世を風びした女子プロレス団体が四半世紀の年を経て復活する」。驚きの会見から1年2か月、新型コロナウイルス禍でほんろうされたGAEA JAPAN(ガイア・ジャパン)が、約束の限定復活興行をようやく実現させた。ガイアの歴史を振り返るとともに、その遺伝子の継承をテーマにした大会「GAEAISM―Decade of quarter century」が13日、東京・大田区総合体育館にて開催されたのだ。

大会を総括した長与千種【写真:新井宏】
大会を総括した長与千種【写真:新井宏】

「ウチ(マーベラス)ってみんな脚太いじゃん」

「一世を風びした女子プロレス団体が四半世紀の年を経て復活する」。驚きの会見から1年2か月、新型コロナウイルス禍でほんろうされたGAEA JAPAN(ガイア・ジャパン)が、約束の限定復活興行をようやく実現させた。ガイアの歴史を振り返るとともに、その遺伝子の継承をテーマにした大会「GAEAISM―Decade of quarter century」が13日、東京・大田区総合体育館にて開催されたのだ。

ドラマ、アニメ、アイドル、K-POP、スポーツ…大人気番組が目白押しのお得キャンペーンを実施中(Leminoサイトへ)

 ガイアとは1980年代、日本中にクラッシュ・ギャルズブームを巻き起こした長与千種が95年4月15日に旗揚げした女子プロ団体だ。当時の業界最大手・全日本女子プロレスに真っ向勝負を挑み女子プロ界を二分。当時15歳の里村明衣子をはじめとする一期生が旗揚げ戦でデビューし、アジャコング、北斗晶ら女子プロ対抗戦時代の主役たちに挑む図式で一大勢力となった。しかし10年後の2005年4月、ライオネス飛鳥とのクラッシュ2000の終焉(しゅうえん)、長与の引退とともに団体も解散、全女もその1週間後に崩壊し、女子プロ界は冬の時代を迎えてしまう。

 あれから15年、旗揚げの日からちょうど四半世紀の時を経た20年4月15日、ところも同じ後楽園ホールでの限定復活興行開催が昨年2月5日の会見で明らかになった。が、緊急事態宣言のあおりを受けて延期に。その後、21年1月へのスライド開催が検討されたものの、ソーシャルディスタンスなどを考慮し、後楽園よりもキャパシティーの大きい会場を選択、一時は4月29日に決定をみたのだが、6月13日に再延期。とはいえ、こちらも不確定要素が多く、ゴーサインが出たのは5月31日になってから。開催まで2週間を切る慌ただしさだった。

 とはいえ、この1年でガイアの血を受け継ぐ2団体、長与のMarvelous(マーベラス)と里村のセンダイガールズプロレスリング(仙女)の対抗戦ムードが盛り上がったのは不幸中の幸いだった。当初はメインとして両者の愛弟子、彩羽匠VS橋本千紘の頂上決戦が組まれていたのだが、彩羽が昨年10月26日の試合中に右ヒザを負傷、全治10か月の診断で長期欠場をしいられ、橋本との対戦は消滅してしまった。が、マーベラスが絶対エース・彩羽、仙女が大将・里村を限定出場で欠きながらも、若い選手が急成長。今年1月に両団体の対抗戦が本格的にスタートし、今大会での全面対抗戦になだれ込んだのである。

 しかも、ガイアで封印されたAAAWシングル&タッグの王座が復活、メインのイリミネーション6人タッグマッチで勝った方の団体が管理権を獲得する条件が加わった。新王者を決めて継続させるも再封印させるも勝利団体の裁量に任される。さらに最後の前哨戦となった6月6日、仙女の2冠王・橋本が自身の保持するセンダイガールズワールドチャンピオンシップ、シングル&タッグのベルトまで懸けると宣言。これにより、4大タイトル6本のベルトが同時に争われる前代未聞の試合形式が行われることになったのである。

 長与はKAORU&広田さくらとのトリオで里村&永島千佳世&植松寿絵のガイア1期生と対戦。こちらはデビュー戦でのコスチュームを引っ張り出してきた広田のコミカルスタイルも加わり、当時を懐かしむような試合となる一方、対抗戦は若手選手の負けたくない気持ちが激しい火花を散らしまくった。第1試合の星月芽依&神童ミコト&Maria組VS愛実&岡優里佳&カノン組は、基本技ドロップキックの応酬が心地いい。瞬発力の高さはもちろん、たとえ失敗してもすぐに修正できる能力は、股の太さに象徴されるように日頃の練習量のたまものだ。長与はガイアの1期生を育てた。そこでもまれた里村は仙女の選手を育てた。長与は言う。

「ウチ(マーベラス)ってみんな脚太いじゃん。まだまだ太くなるよ。なぜかというと、坂路を走らせます。たたき上げるためには坂道。あのスタミナも坂道を走らせてこそ。(道場近くにある)船橋運動公園のおかげです(笑)。そのあと40度を超える(道場での)トレーニング。この1年間、とにかく練習の虫だったね。と同時に、オンとオフをはっきりさせた」

次のページへ (2/3) 「悔しくて過呼吸になるくらい泣きじゃくった」
1 2 3
あなたの“気になる”を教えてください