コロナ禍で留学を切り上げて帰国、オーディションで大役つかんだ15歳 若手俳優の素顔

1年半のカナダ留学をした和田庵【写真:ENCOUNT編集部】
1年半のカナダ留学をした和田庵【写真:ENCOUNT編集部】

カナダ留学1年半「ゆくゆくは海外の作品にも挑戦してみたい」

 日本の女優を代表する尾野との共演は刺激になった。「今までもいろんな作品を見てきたんですが、間近で見た時の方がすごいオーラです。現場や楽屋が一気にバーッと明るくなるんです。でも、楽屋やお昼ご飯の時は優しくて明るい人で、普段から親しげに話しかけてきてくれ、演じやすい空気をしてくださいました」

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 貴重なアドバイスももらった。「同級生に公団住宅の家を燃やされて、階段の隅で泣いているシーンがあって、その撮影の前日、尾野さんに“いつもどんなふうに泣いているのか”を聞いたんです。『役になりきって、号泣する』とおっしゃっていました。『役とは関係のないことを考えて、泣くのは逃げているような気がしてイヤだ』と。多分、僕は役の理由では泣けないと思ったのですが、なりきって泣こうとしました。学んだことは計り知れないです」

 カナダ留学は中1の終盤から1年半。大きな財産になった。「それまで何も考えないで、ずっとやってきた感じだったんです。英語がすごい苦手だったんですけど、いつか、やらなきゃいけないときが来るなと思ったんです。兄が先に3年ほどカナダ留学していたことも大きいです。人間性も高めたいと思いました。ホームステイ前は親に頼ってばかりだったんで、一人暮らしする能力を培っておきたいなと思ったんです。あとは英語コミュニケーション能力が高くなったなと自分でも思います。向こうは、知らない人にも、フレンドリーに話しかけてくれるので。ゆくゆくは海外の作品にも挑戦してみたいなと思います」

 憧れているのは仲野大賀だ。石井監督による主演作「生きちゃった」を始め、主演作「泣く子はいねぇが」、役所広司主演の「素晴らしき世界」、松坂桃李主演の「あの頃。」で目覚ましい活躍を見せている。「すごい演技派じゃないですか。仲野さんのような俳優になりたいです。ホームステイ中、寝る前に時間があったので、Netflixでドラマや映画を見るのが好きでした。これからも、いろんな役者さんのお仕事への向き合い方、演技、いいところを吸収していければと思います」。次代の注目株はそう力強く宣言した。

□和田庵(わだ・いおり)2005年8月22日、東京都出身。8歳から芸能活動をスタートさせ、17年、映画「ミックス。」で俳優デビュー。フジテレビ「隣の家族は青く見える」やHBOアジア「フォークロア:TATAMI」に出演し、注目を集める。その後、語学力と人間力を高めるべくカナダへと留学、20年夏に帰国。趣味はスケートボード。俳優業の傍らスケートボードの技術も日々、まい進中。

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