「奇跡のようなイベント」となったくまもと復興映画祭 2年連続客入れ開催実現のワケ

「由宇子の天秤」のゲスト、光石研【写真:ENCOUNT編集部】
「由宇子の天秤」のゲスト、光石研【写真:ENCOUNT編集部】

東京からのゲスト、メディアに抗原検査

 地方の映画祭が軒並み中止、オンライン開催となった理由は主催・共催の自治体には慎重論が根強いことが挙げられる。もちろん、感染拡大中の最中に、イベントを行うことはもってのほかだ。熊本では感染者が低く抑えられていたことに加え、映画祭自体が熊本市長の肝いりで行われていることが大きいのだろう。

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 くまもと復興映画祭は、熊本地震直後に、大西一史・熊本市長が行定氏に「映画で市民を元気づけて欲しい」とメールしたことから始まった。自治体主導の映画祭は全国でもいくつかあるが、熊本では官民がうまく動いており、地震があっても、コロナ禍でも熊本は元気だ、とのアピールにもなったのではないか。

 取材した立場から言うと、現地で抗原検査を受けたことも大きな安心材料だった。事務局では簡易な抗原検査キットを用意して、東京からのゲスト、取材陣は全員陰性だと分かった。この抗原検査キットは数百円程度のものだそうで、綿棒で鼻の体液を採取して5分程度で判定できる。専門的な知識は不要だ。

「コロナは無症状者から感染が拡大している」とも言われているが、この抗原検査を全国民に配って、無症状の陽性者は2週間程度、自宅待機してもらえれば、感染はある程度、抑えられるはずだ。行定氏も「抗原検査は有効的だと思う。飲食店に営業自粛をお願いしたり、協力金を支払うより、コストは安く、効果的だと思う。専門家も同じようなことを言っているのに、なぜやらないのか。何かできない理由があるんだろうね」と話していた。

 変異型の拡大によって、新規感染者は増え続けており、5月11日までとされた緊急事態宣言、まんえん防止措置は延長される見込みだ。このままでは、映画祭に限らず、集客が重要なエンタメ・スポーツはますます厳しい状況に置かれてしまう。くまもと復興映画祭の成功を手本に、全国でも映画祭が開催されることを切に願いたい。

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