「奇跡のようなイベント」となったくまもと復興映画祭 2年連続客入れ開催実現のワケ
マスク会食で懇親会も実施
中から1本だけ紹介させてもらうと、9月公開の社会派サスペンス「由宇子の天秤」(春本雄二郎監督)は期待してもらっていい。「火口の二人」でキネマ旬報ベストテン・主演女優賞に輝く瀧内公美が女子高生いじめ自殺事件の真実を追うフリーのビデオジャーナリストを演じたもの。テレビ局との確執、塾を経営する父親(光石研)が教え子との間で起こした出来事に翻弄(ほんろう)される姿を描く。2時間32分という長尺で、音楽は一切ないインディーズ作品だが、映像と役者の演技にグイグイ引き込まれる。世界三大映画祭の一つ、ベルリン国際映画祭にも出品され、世界の映画祭を席巻中でもある。
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映画祭は昨年に引き続き、オンライン配信も開催された。行定氏がホストを務め、ゲストとぶっちゃけトークを展開するイベント「真夜中の映画祭」(例年は客入れで実施)を無料配信。こちらはアーカイブを残さない生配信で、行定氏だからこそ引き出せる、ここだけのマル秘トークが好評だった。
映画祭とは出会いと発見の場だ。オンラインでも実現可能だが、実際に人と人が混じってこそ、密度の濃いものとなる。期間中の3日間はソーシャルディスタンスに配慮し、マスク会食で懇親会も実施。映画公開も控える「キネマの神様」の作家・原田マハさんも来場し、映画関係者との会話を楽しんでいた。
コロナ禍になってから、筆者も会食は数回のみ。今年に入ってからは飲食店の営業が制限されているため、酒が入った懇親会は今年初めてだ。東京都内とは違って、熊本市内では深夜まで飲食店の明かりがともり、うれしくなった。熊本の名産の馬刺しや辛子レンコン、今が旬というスイカを食しながら、地焼酎の白岳を飲みながらの映画談義は、“控えめに言って最高”。島根県松江市出身の佐野さんも懇親会の席で「くまもと復興映画祭はいいね。松江も小泉八雲を始め、文化の深い町なんだから、できたらいいのに」と話していた。