ピアノが楽しくなる“スイッチ”とは? 大塚愛のひと言で誕生した西村由紀江の新シリーズ

全国にピアノの楽しさを届けていきたいと語った【写真:本多元】
全国にピアノの楽しさを届けていきたいと語った【写真:本多元】

構想から12年かけてようやく実現したストリートピアノ

「鍵盤のカルテット」は、初心者の方にも挑戦してもらえるよう左右の親指と人差し指の4本(=カルテット)で弾ける曲です。この曲は昨年、岩手の学校コンサートで共演した高橋直樹さんというマリンバ奏者との出会いがきっかけで、高橋さんは手に障がいがあり、親指と人差し指を使って演奏しているのですが、「いつかピアノコンクールに出たい」というお話をお聞きして作りました。先日、高橋さんがコンクールの予選に出場してこの曲を弾いてくださったんです。

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 実は私ピアノのペダルには命をかけていまして(笑)。浅く深くといった強弱をとても大切にしています。そんなペダルに焦点を当てた曲も今回作りました。「時の波紋」は、踏みっ放しの音の濁り感を味わっていただき、「Pedal’s Song」はダンスをするようにステップを細かく踏みながら演奏しています。ぜひこの2曲の違いを確かめてみてください。

 最後の曲「幸せを運ぶピアノ」は、最近テレビでも紹介されていますが「駅ピアノ」「空港ピアノ」「街ピアノ」といったストリートピアノが世界的に広がっていて、そんな幸せを運んでくれるピアノをイメージして作りました。私も日本各地のストリートピアノを弾かせていただき、故郷の豊中市でも昨年「豊中ストリートピアノプロジェクト親善大使」に選んでいただきましたが、みなさんにストリートピアノを楽しんでもらいたいと思い、12年前から市の職員の方々と一緒に計画を進めて今年ようやく実現できました。

 地元の子どもたちと一緒にペイントしたストリートピアノの除幕式では、私の弾き初めが終わると、子どもたちだけではなく、おばあちゃんも、スーツを着た男性も次々に弾き始めて。ピアノってこんなにたくさんの人に愛されているんだって。何とも言えないほほ笑ましい光景でした。

 そんなピアノは私にとって「相棒」なのかな? 悲しい時には悲しい音を、楽しい時には楽しい音を一緒に出してくれる、そんな存在です。そして私をピアノの世界に導いてくれた母。幼い頃によくベートーベンのピアノソナタ「月光」を弾いて聞かせてくれました。実は先日都内のストリートピアノを予告なしに弾かせてもらい母への感謝を込めて「月光」を演奏しました。マスクをしていたので「あの人誰?」って思ったかもしれませんが(笑)。スタッフさんに動画を撮ってもらったのでよかったら見てください。

 デビューから35年、いくつかの分岐点もありましたが、そんなときに自分らしく歩くことができたのは、私を支えてくれたたくさんの人とピアノのおかげです。これからも世の中がどう進もうと、私は私のペースで歩いていきたい。そう思っています。

□西村由紀江(にしむら ゆきえ)作曲家/ピアニスト。幼少より音楽の才能を認められ、ヨーロッパ、アメリカ、東南アジア諸国への演奏旅行に参加。マエストロや世界の一流オーケストラとも共演し、絶賛を博す。桐朋学園大学入学と同時にデビュー。「101回目のプロポーズ」「子ぎつねヘレン」など、ドラマ・映画・CMの音楽を多数担当するほか、テレビ・ラジオの出演やエッセーの執筆も行う。年間60本を超える全国コンサートの傍ら、ライフワークとして「学校コンサート」や「病院コンサート」、そして被災地にピアノを届ける活動「Smile Piano 500」にも精力を注ぐ。6月5日から全国11か所を回るCD発売記念ツアーがスタート。

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オフィシャルサイト:http://www.nishimura-yukie.com/
「Smile Piano 500」HP:http://www.nishimura-yukie.com/smilepiano/

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