WWE女子部門を変えたリック・フレアーの実娘シャーロットが熱い支持を集める理由

父フレアーの足4の字固めをアレンジした"フィギュアエイト” (C)2020 WWE, Inc. All Rights Reserved.
父フレアーの足4の字固めをアレンジした"フィギュアエイト” (C)2020 WWE, Inc. All Rights Reserved.

アスカの連勝記録「267」をストップ そして両者は好敵手へ

 やがて、シャーロットの抗争相手はナタリアに移行。これは正真正銘の名門対決として実力派路線に大きく貢献したと言っていい。ナタリアは故ジム・ナイドハートの娘でカナダの名門ハート・ファミリーの一員だ。16年5月1日「ペイバック」大会ではシャーロットのWWE女子王座にナタリアが挑戦。この試合で父リックがシャーロット、叔父のブレット・ハートがナタリアにそれぞれセコンドについた。

 話は前後するが、2016年に行われた「レッスルマニア32」では”女子革命”が大きく前進した。今までWWEの象徴だったディーバ(女子)部門の王座「ディーバズ王座」が封印され、名称がWWE女子王座として生まれ変わったのだ。その初代王者決定戦がこの日行われ、ディーバズ王者のシャーロットがベッキーとサーシャとの3ウェイマッチを制しWWE女子王者にスライド。しかも3人ともレッスルマニア初出場ながら、大会ベストマッチとの呼び声が高かった。

 10月30日「ヘル・イン・ア・セル」ではPPVイベント初の女子によるメインでシャーロットがサーシャから王座奪回。彼女が父から独り立ちしたのもこの頃である。以来、奪取と陥落を繰り返しながら現在まで10度シングル王座を獲得。単純比較はできないが、このキャリアで早くも父の16回に迫ろうかという勢いだ。

 日本人スーパースターとの絡みが始まったのは2018年に入ってから。1月28日「ロイヤルランブル」で優勝したアスカの挑戦を受け、4月3日「レッスルマニア34」でタイトルマッチをおこなった。これまでゴールドバーグが持つデビュー以来173連勝を抜く記録「267」をつづけていたアスカを止めたのがシャーロット。WWE入り以来2年半に及ぶ連勝をストップさせたのだ。無敗が途絶えたとはいえ、シャーロットとタイトルを懸けて対戦したことで、アスカの株があらためて上昇したのは間違いない。

カブキ・ウォリアーズとの名勝負がWWE女子部門のレベルを向上させた

 そして2019年4月7日「レッスルマニア35」を経て、カイリ・セインが一軍に昇格しアスカと合流。「カブキ・ウォリアーズ」を結成した。シャーロットとベッキーは抗争と共闘を繰り返しながらWWE女子の主役でありつづけた。その2人がタッグを組むタイミングでカブキ・ウォリアーズと遭遇。10月6日「ヘル・イン・ア・セル」で女子タッグ王座を初奪取した翌日、カブキ・ウォリアーズはロウ女子王者ベッキー&スマックダウン女子王者シャーロットとノンタイトルで対戦した。タッグ王者とはいえ、常識的に考えればチャンピオンサイドのチャレンジである。だが、シングル王者2人にカブキ・ウォリアーズが勝利した。

 プライドを傷つけられたであろうベッキー&シャーロットはカブキ・ウォリアーズとの闘いをシングル、タッグ、ハンディ戦と、あらゆる形式で展開させていく。そのクライマックスが、テーブル&ラダー&チェアーを駆使する冒頭でも触れた12月15日のTLCマッチだった。結果こそカブキ・ウォリアーズの防衛だったものの、それでもシャーロットとベッキーの価値が下がったわけではない。4人の凄さがあらためて伝わる壮絶マッチだった。

 デビューからWWE傘下で闘い続けるシャーロット。彼女の来日は2016年7月の両国大会と17年9月の大阪大会のみ。18年の両国大会も来日が決定していたが、ケガのため中止になってしまった。いずれはアスカ、カイリ・セインとの対戦が日本でも実現してほしい。

 17年9月には父との共著「SECOND NATURE: THE LEGACY OF RIC FLAIR AND THE RISE OF CHARLOTTE」を出版。フレアー家の血筋が、カブキ・ウォリアーズの躍進に大きく貢献しているのだ。

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