【ズバリ!近況】トランスジェンダーで紅白紅組出場の中村中さん、公表前も後も「生きづらさ感じない」

歌や芝居で“表現者”として活躍する【写真:山田隆】
歌や芝居で“表現者”として活躍する【写真:山田隆】

2020年1月にアルバム「未熟もの」リリース

 メインはソロ活動です。2020年1月15日に約1年ぶりのアルバム「未熟もの」をリリースし、1月25日から2月29日までアコースティックツアー「阿漕な旅2020―何回言ったらわかるの―」で全国11か所を回ります。年1枚のペースは結構慌ただしくて、デビューの頃以来、久しぶり。去年のアルバムを担当してくれたディレクターが背中を押してくれました。

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 いつも、今、一番関心があること、気がかりなことを書こうと思っていて、今回の「未熟もの」は次々とイヤなことが起こるなかで、みんな苦しいのに自分だけラクになろうとする人がいるのが悲しくて、それをカタチにしたい、と思って作りました。個人的な日常の身近なことを歌っていて、今年、突然亡くなったシンガーソングライターを思って作った歌や、芝居で演じた役に影響されて書いた曲も入っています。私の歌の大きなテーマは、集団からはみ出ている人とか置いてけぼりをくらってる人で、それはデビューのときから変わりませんね。

前作で「これが最後になるかも」と覚悟していた

 私は歌に支えられて生きてきたので、ライブとかで歌い続けるでしょうけど、CDはなかなか売れない時代。前作もCDをいつまで作れるかな、作れるのはこれが最後になるかも、という覚悟で作りました。今は若い子は音楽もサブスクリプション(定額聞き放題サービス)で聴くスタイルが増えているので、その流れに抗うのも難しい。私は言葉を伝えたくて歌を歌っているので、どうやって歌詞を見ながら聴いてもらえるかな、と考えているところです。

 芝居も2006年にデビューしてすぐから、やらせていただいています。最初は突然、オファーがきて、「なんで?」と思いました。最初は心も身体もついていかなかったんですけど、挑戦してみたら芝居に人生をかけている志をもった人たちが集まっていて、ものすごく刺激的でやり甲斐も感じました。2013年からはストレートプレイ(歌唱が入らない正劇)にも挑戦しています。1年に1本はやりたい。もうやめられないですね。今年はデビュー当初から憧れだった劇団「KAKUTA」の舞台など2本に出させていただきました。

同性パートナーシップ制度は活用しない

 同性パートナーシップ制度は活用していません。予定も、活用したいという願望もなくて。1人は寂しい時もありますよ。でも、中学の時、「私は子供を作ることもできないし、この後、どう生きていくのかな」と考えちゃって、少しでも多くの幸せに触れて、人に出会って楽しいことをしよう、そして人生をなるべく周りに迷惑をかけないように終わらせないといけない、って決めちゃったんです。なるべく歌を作って歌い続けるしかないなと思っています。

 日々の楽しみは食べることですね。基本はインドア派で、料理を作るのも好き。旬のもの--今はミカン、春はツクシ、フキノトウ、タラの芽……おかげで健康で、合唱の練習をしていても「なんでそんなに疲れないの?」って驚かれています(笑)。

○中村 中(なかむら・あたる)1985年6月28日、東京・墨田区生まれ。2006年6月、シングル「汚れた下着」(avex trax)でメジャーデビュー。2枚目のシングル「友達の詩」発売時に性同一性障害を公表。「友達の詩」はロングヒットを記録し、2007年NHK紅白歌合戦に紅組で出場した。2019年1月、9枚目のアルバム「未熟もの」(インペリアルレコード)をリリースし、同月25日~2月29日まで「アコースティックツアー-阿漕な旅2020 -何回言ったらわかるの-」で全国11か所を回る。6月27日には東京・日本橋三井ホールでバンドでのライブ「LIVE2020 僕らは半人前」を行う予定。

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