【プロレスこの一年♯42】力道山興した日本プロレスの崩壊 東京五輪金メダリストの全日本入団 73年のプロレス

“インドの狂虎”タイガー・ジェット・シン(写真は2007年)【写真:平工 幸雄】
“インドの狂虎”タイガー・ジェット・シン(写真は2007年)【写真:平工 幸雄】

11月に発生した「伊勢丹前襲撃事件」

 新日本では3月30日に元・日プロの坂口征二が入団あいさつ。この日、NET(現テレビ朝日)の日本プロレス中継が終了し、次週から新日本を放送するとの発表があった。坂口は日プロとの契約が満了した4月1日に新日本移籍第1戦。6日の宇都宮より新日本のテレビ中継がスタートした。新日本における猪木と坂口のタッグは、日プロの最終試合となった20日、蔵前で実現している。

 5・4川崎では“謎のインド人”が乱入し、山本小鉄の試合をぶち壊した。正体はタイガー・ジェット・シンで5・25岐阜から参戦が認められ、いきなり猪木とのシングルマッチがメインで組まれた。試合はシンが反則勝ちをおさめ、猪木との抗争がスタートする。新日本は、8月3日から5日にかけて行われたNWA年次総会に出席し、加盟を申請するも否決されてしまう。

 しかし、10・14蔵前で猪木&坂口の黄金コンビがルー・テーズ&カール・ゴッチ組を迎え撃つ「世界最強タッグ戦」を実現させる。試合は2本目に坂口がテーズ、3本目に猪木がゴッチをフォールし、黄金コンビの2-1の逆転勝ちとなった。11月5日には「伊勢丹前襲撃事件」と呼ばれる事件がリング外で発生。シンをはじめとする3人の外国人レスラーが、買い物を終えた猪木夫妻を襲ったのである。この事件を受けた16日、札幌で猪木とシンが一騎打ち。大流血の猪木が反則勝ちをおさめると、30日には徳山で日本初の「ランバージャックデスマッチ」で再戦。リングを取り囲むセコンド陣が場外に落ちた選手をリングに戻す、リング上での完全決着戦。最後は猪木がバックドロップでシンをフォールし、「シンを日本のリングから永久追放する」としたのだが……。

 新日本では12月6日、ミュンヘン五輪アマレス代表・吉田光雄の入団を発表。のちの長州力である。12・10東京体育館では、猪木がジョニー・パワーズを破りNWF世界ヘビー級王座奪取に成功した。NWF王座はその後、新日本のフラッグシップタイトルとなる。

 国際では6月19日、ラッシャー木村がストロング小林への挑戦を表明、7・9大阪でのIWA世界ヘビー級王座戦が日本人大物対決として実現した。試合は小林が勝利し、24度目の防衛に成功。敗れた木村は10・10長崎で行われた「第5回IWAワールド・シリーズ」決勝で勝利し初優勝。小林は11・9和歌山でワフー・マクダニエルに敗れIWA王座から陥落も、11・30後楽園で奪回を果たしたのだった。(文中敬称略)

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