「ザ・ノンフィクション」が放送1000回 制作者が語る現代ドキュメンタリーの難しさ

1995年10月にスタートしたフジテレビのドキュメンタリー番組「ザ・ノンフィクション」(毎週日曜午後2時)が18日に放送1000回を迎える。時代の映し鏡として放送開始当初から日曜の昼下がりという時間帯で26年にわたる歴史を紡いできた。放送1000回という節目にチーフプロデューサーは何を思うのか。ENCOUNTではインタビューを実施し、話を聞いた。

「ザ・ノンフィクション」が放送1000回を迎える(写真は2014年7月13日/705回のもの)【写真:(C)フジテレビ】
「ザ・ノンフィクション」が放送1000回を迎える(写真は2014年7月13日/705回のもの)【写真:(C)フジテレビ】

東日本大震災、コロナ禍、SNS普及…時代を映す鏡として少しずつ変化

 1995年10月にスタートしたフジテレビのドキュメンタリー番組「ザ・ノンフィクション」(毎週日曜午後2時)が18日に放送1000回を迎える。時代の映し鏡として放送開始当初から日曜の昼下がりという時間帯で26年にわたる歴史を紡いできた。放送1000回という節目にチーフプロデューサーは何を思うのか。ENCOUNTではインタビューを実施し、話を聞いた。(取材・文=中村彰洋)

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 2019年7月から同番組のチーフプロデューサーに就いた西村陽次郎氏は、1999年から2002年まではADとして「ザ・ノンフィクション」を担当。その後も番組制作にたびたび携わるなど、その歴史を長い期間、見続けてきた。

「テレビ番組は半年で終わることもあります。それが少しずつ形を変えながらですが、26年も日曜の午後という放送枠を変えずにずっと続いている。1000回ですからね。日本のテレビ界のドキュメンタリー制作者が本当に多く携わってつないできた番組なんだなと改めて思います」

 日曜の昼下がりという時間帯。放送が続くにつれ「日曜の午後」という時間帯がうまくハマっていき、26年という長い期間、同時間帯での放送を継続してきた。西村氏は「“最もフジテレビらしくない番組”なのかもしれませんが、存在感としてはフジテレビの中にあることに意味がある番組。それがずっと続いてきた理由なんじゃないかなと思います」と分析している。

 阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件など日本中が激震した年に番組はスタートした。「当時は“今日、明日をどう生き抜くか”が大きな主題。ホームレスや貧困層など這いつくばって“今”を生き抜く人たちへフォーカスをあてたものが多かった。それが90年代の『ザ・ノンフィクション』だったんです」。

 1000回を振り返る中で、徐々に形を変えつつも、11年3月11日の東日本大震災を機に番組の“色”が変わったことを実感。“今日、明日を生き抜くこと”から、“自分らしく生きる”をテーマにしたものが増えたとした。

「自分がどうやって生きていくのか、何が楽しくて生きていくのか、みたいなことをみんなが考えていて、答えがまだ見つかっていない人が多い。その中で他の人はどうしているのかだったり、いろんな生き方が『ザ・ノンフィクション』では示される。そこが番組を見てもらえる理由なのかなと思います。自分だったらどうするかを『ザ・ノンフィクション』を見て確認する。『自分はこのやり方じゃない』、『この生き方、いいな』など。最近は人の幸せとは何かみたいなテーマが多いですね」

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