名バイプレーヤーの悩み…木下ほうか「『嫌味』というレッテルをはがしたい」

オーバーオールをおしゃれに着こなす木下ほうか【写真:荒川祐史】
オーバーオールをおしゃれに着こなす木下ほうか【写真:荒川祐史】

エゴサーチして思った「あまりに『嫌味』というレッテルがあるんで、それをはがしたい」

 バイプレーヤーとして心がけているのは、いかに独自性を出すか。「作品を商品と考えたら、いかに興味深い演技をするか、いい意味で違和感を出すかが大事。俳優部としては、誰がやっても同じ結果を出すわけにいかない。でも、やりすぎたら、わざとらしい。いかにも、いそうで、ないような役を演じるようにしています」

 ただ、どんな名演も時に編集段階でカットされることもある。「出演した作品は100%見ます。どういうふうにつながっているのか、自分のシーンはどうなっているのかをチェックします。いいと思ったシーンが切られるのは僕らの悲しみでもある。『ここを切ったんか』と思う時もあるけど、そういう戦いなんです。だから、ただ楽しむ意味では一切見ていないです。この作品も1回しか見ていないけど、これなら、人に『見てね』とは言えるなと思いました」

 劇中では大胆な濡れ場もあって、さまざまな体位を見せる。「いろんなことをやったのは、単にカットがかからなかったから。僕は普段から、結構AVを見て研究していますので。この監督と前作でやった時は前バリはなしでしたが、今回はつけてやりました。濡れ場はこれまで5回くらいやっています。私生活を見られるみたいで恥ずかしいという人もいますが、しょせん作りものですから。濡れ場のある映画なのに、制限をかけるクソみたいな映画や演者もいるけども、今回はまったく制限なくて、『どうぞ、どうぞ』という感じでびっくりしました。こんな女優さんは滅多にいない。今は、『疑ってすみません』という思いです。彼女の存在が大きかった」と共演の中山に感謝する。

 これまでも幅広い役がらを演じているが、今後はどんな役を演じていきたいか。「ひたすら好感度が上がる役をしたいですよ。CMが欲しいから。来る日も来る日も憎まれ役じゃ、イメージ悪いじゃないですか。役が来るのはありがたいけども、あまり似た役が多いとね。エゴサーチすると、『怪しい』『嫌味』『嫌らしい』という言葉が出てくる。あまりに『嫌味』というレッテルがあるんで、それをはがしたい、溶かしたいんです」。私生活では、オーバーオールをおしゃれに着こなす名脇役は密かな野望を抱いている。

□木下ほうか(きのした・ほうか)1964年1月24日、大阪府出身。81年、「ガキ帝国」で俳優デビュー。近作は「破門 ふたりのヤクビョーガミ」「かぞくいろ -RAILWAYS わたしたちの出発-」「嘘八百 京町ロワイヤル」「事故物件 恐い間取り」など。NHK大河ドラマ「麒麟がくる」、フジテレビ系「アライブ がん専門医のカルテ」、日本テレビ系「ぶらり途中下車の旅」(NTV)などにも出演。YouTubeチャンネル「ほうか道」も人気。

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