藤波辰爾、初代タイガーマスクを知るレジェンド直撃 30周年記念マッチを前に決意表明

ドラディション4・16東京・後楽園ホール大会でデビュー30周年記念試合に臨む長井満也が、あふれでる思い出を振り返った。

【撮影:柴田惣一】
【撮影:柴田惣一】

藤波辰爾にサインをもらった小学生が不思議な縁で…

 ドラディション4・16東京・後楽園ホール大会でデビュー30周年記念試合に臨む長井満也が、あふれでる思い出を振り返った。

 格闘戦士から「小さいころからの憧れだった」プロレスラーとなって30年。その原点は40年以上前、小5の時にまでさかのぼる。

 故郷・北海道砂川市に新日本プロレスがやってきた。色紙を持って駆けつけた長井少年は、おずおずとサインをお願いした。目の前にはジュニア戦士として華やかに凱旋し、一大旋風を巻き起こしていた藤波辰巳(現・辰爾)がいた。

 気さくに応じてくれた藤波は、色紙の隅っこに、こじんまりとマジックを走らせた。「大きく書いてほしかったけど、藤波さんは他の選手にも、サインをもらうと思ったんじゃないかな」と、長井は笑みを浮かべた。

 色紙を1枚しか持っていないファンを思いやって、小さく寄せ書き仕様のサインをした藤波。初めてのレスラーのサインに感慨に浸って、大部分が空白のままの色紙に、サランラップでカバーし、大切に飾った長井。2人の想いは見事にリンクした。

「プロレスへの、プロレスラーへの、情熱が決定的になった瞬間かも知れない」と感慨深げ。30周年の記念試合を藤波のドラディションで闘えるとは…長井本人ならずとも縁を感じざるを得ない。

 格闘技を経て念願のプロレスラーとして活動することになり、初代タイガーマスクこと佐山聡からも貴重なアドバイスをもらっている。佐山とは10代のころ、スーパータイガージムの会員として遭遇していたが、疎遠となっていた。プロレスラーになって、久しぶりに会う機会が訪れた。あいさつすると「おお、あの弘和(長井の本名)か!」と覚えていてくれた。

 そして「プロレスラーはリング上で性格が出てしまってはダメだから」と、目からうろこの一言をいただいたという。その後、全日本プロレス、新日本プロレス、ノア始め多くの団体で活躍したが、正統派、悪党、コミカル…さまざまなスタイルで暴れられたのも「本当の自分を抑えたからかな。もっとも、本当の自分なんて、よく分からないけど」と笑い飛ばした。

 4・16決戦、長井はメインイベントで村上和成、魔界2号とトリオを結成し、藤波、越中詩郎、高岩竜一組と対決する。「僕の30周年を振り返ると、やはりこのカードに落ち着く。魔界倶楽部は暴れがいがあった」と楽しげだ。

 オープニングマッチに魔界5号も登場。新井健一郎とのシングルマッチが組まれている。長井は魔界5号だった、との定説があるが「今は情報過多の時代だから、仕方がないかも知れないけど、プロレスラーもミステリアスな部分を残しておかないと」とニヤニヤ。

 2002年に登場したプロレス結社魔界倶楽部は、故・星野勘太郎総裁の元、新日本マットで人気を誇ったユニット。星野総裁の「ビッシビシ行くからな!」は、マット史に刻まれる名セリフである。

 4・16決戦の30周年記念試合で、魔界倶楽部絡みのカードに臨む長井。ひたすら楽しそうに語る姿に、こちらも幸せ気分になった。

次のページへ (2/2) 【写真】多くの団体で活躍した長井満也は語り口も変幻自在、実際の写真
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