【気になる人】74歳で歌手デビューした「笑点」落語家・三遊亭好楽師匠が語る涙をポロポロ流した夜

落語に出会えたのは運命なのかなと話した【写真:荒川祐史】
落語に出会えたのは運命なのかなと話した【写真:荒川祐史】

背伸びせずに生きてきたのが良かった

 落語家って、世の中で一番簡単になれるんです。師匠に弟子入りしさえすればなれるんだから(笑)。なのに上方合わせても800人しかいないんだから、落語に出会えたのは運命なのかな、と思いますね。それに選ばれたあたしたちは、本当に幸せです。それで、しゃべったからって石をぶつけられたり怒られたりすることはないし、それどころか悲しいときも笑ってもらえて喜ばれる。東日本大震災のときは、落語やって義援金を集めたり、落語をしゃべりに行ったりもいっぱいしました。被災地は行ったことがあるところばっかりだから、岩手・陸前高田の仮設住宅に座布団300枚届けたり、お汁粉を煮込んで配ったりもしましたね。

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 これからもっと笑ってもらえることを考えて、高座に立ちたいな、と常に思っています。落語家は年をとればとるほどいろんなことを経験し、いろんな人と付き合って、器が大きくなって、自然と芸の幅が広がるんです。つくづく幸せな商売ですね。人生は山あり谷あり。楽な道を選んだつもりでも、どうしたってもめ事があったり病気があったりします。それを乗り越えていくうちに人間ができあがっていくんです。

 汗をかいている人を尊敬し、ごあいさつしなさい、受けた恩を忘れない、逆に良いことをしたら忘れなさい、ってことですね。20代のまだ結婚したての頃、「背伸びしちゃいけないよ」って教えてくれた遠い親戚がいました。「背伸びしたら続けられないよ」って。それを守ってここまできました。そうやってきたから、こうして歌手デビューもできたんだと思いますね。

□三遊亭好楽 (さんゆうてい・こうらく)1946年8月6日、東京・東池袋生まれ。本名:家入信夫。母親の影響で落語に興味をもち、京華商業高校卒業後の66年、8代目林家正蔵(のちの林家彦六)に弟子入り。“林家九蔵(くぞう)”を名乗り71年、二ツ目昇進。79年から「笑点」大喜利メンバーに(83~88年除く)。81年、真打昇進。83年、5代目三遊亭圓楽門下に移り“三遊亭好楽”に。2021年1月20日、「熱燗二本~噺家一代~」で歌手デビュー。私生活では71年10月、結婚。1男2女に恵まれ、孫は21歳を筆頭に5人。長男は落語家・三遊亭王楽(43)。

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