TBS佐古氏が沖縄を撮り続けるワケ…筑紫哲也さんの言葉「沖縄には日本の矛盾が詰まっている」

「筑紫哲也NEWS23」「Nスタ」など報道番組でキャスターとして活躍したTBSの佐古忠彦氏(56)のドキュメンタリー映画「生きろ 島田叡―戦中最後の沖縄県知事」が、20日から全国公開となる。同作は太平洋戦争末期、沖縄県知事を務めた島田叡(あきら)の壮絶な生き様を描いたもの。戦争とはなにか、リーダーはどうあるべきか。コロナ禍で真のリーダーが求められる今こそ、見るべき映画に仕上がっている。

インタビューに応じた佐古忠彦氏【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューに応じた佐古忠彦氏【写真:ENCOUNT編集部】

沖縄県知事の生き様描く映画「生きろ 島田叡―戦中最後の沖縄県知事」20日公開

「筑紫哲也NEWS23」「Nスタ」など報道番組でキャスターとして活躍したTBSの佐古忠彦氏(56)のドキュメンタリー映画「生きろ 島田叡―戦中最後の沖縄県知事」が、20日から全国公開となる。同作は太平洋戦争末期、沖縄県知事を務めた島田叡(あきら)の壮絶な生き様を描いたもの。戦争とはなにか、リーダーはどうあるべきか。コロナ禍で真のリーダーが求められる今こそ、見るべき映画に仕上がっている。(取材・文=平辻哲也)

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 佐古監督は13年からドキュメンタリー番組のプロデューサーを務め、17年には戦後、米軍の圧政に立ち上がった沖縄の政治家、瀬長亀次郎の生涯を描いたドキュメンタリー映画「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー」(日本映画ペンクラブ賞文化部門1位など)、19年にはその続編「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯」を監督し、高い評価を受けている。沖縄を描き続けているのは「沖縄には日本の矛盾が詰まっている」という故・筑紫哲也さんの言葉が原点だ。

 島田は1945年1月、43歳で戦中最後の沖縄県知事になった人物。大規模な疎開促進や、食糧不足解消に奔走。軍部からの理不尽な要求と、行政官としての住民第一主義という信念の板挟みとなり、苦渋の選択を迫られる。戦況が悪化する中、「玉砕こそが美徳」とされた時代で、周囲の人々に「生きろ」と言い続けた。

 佐古監督は2013年にも島田を主人公にした報道ドラマ「生きろ?戦場に残した伝言」のドキュメンタリーパートを監督しているが、「この時は緒形直人さんにドラマで島田を演じてもらったんです。2時間以上ある番組で、40分がドキュメンタリーでした。番組では使えなかった証言がたくさんあったので、もう一度、世に送り出したいと思っていました。亀次郎のドキュメンタリーを2本経験したことで、ドキュメンタリーだけで島田の生き様を表現できるんじゃないかと思ったんです」

 ただ、映像が残っていた瀬長亀次郎とは違い、島田は写真が数枚あるだけ。今回、改めて証言を掘り起こし、追加インタビューも敢行。島田と同時期に沖縄に赴任した大田實・海軍司令官のエピソードを合わせて、1本にまとめ上げた。ナレーションは佐古監督が全幅の信頼を置く、山根基世アナウンサーが担当。佐々木蔵之介が島田の声、沖縄県出身の津嘉山正種が大田の声を務めた。

「2人の姿を通して、沖縄戦時の住民の姿も見えますし、そのリーダー像も見えてくる。島田が大きな権力の前で、彼らが個として何を成したのかという点に着目すると、人間として、組織人として、どう行動できるのかということも表現できるんじゃないかと思いました」

次のページへ (2/4) 主題歌「生きろ」は小椋佳による書き下ろし「耳をそばだて、命の声を聞こうという歌詞」
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