台湾から福島・会津の子どもへ福袋―東日本大震災10年 文学とテレサ・テンがつないだ友情【#あれから私は】

東日本大震災から10年を迎え、福島・会津の中山間地域の子どもたちに台湾の“福袋”を贈呈するプロジェクトが進んでいる。海を隔てて遠く離れた両者をつないだのは台湾で活躍した会津出身の文化人・西川満(にしかわ・みつる、1908~99年)と台湾出身の歌手テレサ・テン(53~95年)だ。時代を超えて友情を育んできた会津と台湾。プロジェクトのとりまとめ役を務めた日中通訳者・翻訳家の池田リリィ茜藍(ちぇんらん)さんは「単にプレゼントを贈るだけではなくその先にある台湾と会津の未来の交流を促す“種まき”になれば」と話している。

会津の子どもたちへ贈られる「福袋」。東日本大震災10年を機に台湾でプロジェクトが始まった【写真:(C)カク・ユウシ氏】
会津の子どもたちへ贈られる「福袋」。東日本大震災10年を機に台湾でプロジェクトが始まった【写真:(C)カク・ユウシ氏】

発起人グループ「台湾と会津のさらなる交流を促す“種まき”になれば」

 東日本大震災から10年を迎え、福島・会津の中山間地域の子どもたちに台湾の“福袋”を贈呈するプロジェクトが進んでいる。海を隔てて遠く離れた両者をつないだのは台湾で活躍した会津出身の文化人・西川満(にしかわ・みつる、1908~99年)と台湾出身の歌手テレサ・テン(53~95年)だ。時代を超えて友情を育んできた会津と台湾。プロジェクトのとりまとめ役を務めた日中通訳者・翻訳家の池田リリィ茜藍(ちぇんらん)さんは「単にプレゼントを贈るだけではなくその先にある台湾と会津の未来の交流を促す“種まき”になれば」と話している。(取材・文=鄭孝俊)

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 今回、会津の子どもたちに贈られるのは、台湾の文芸・アート諸団体が独自に作っている公式グッズ(文房具)の数々。国立故宮博物院からは国宝の絵画が印刷されたクリアファイルや転写シールなど、台湾コンテンポラリー・カルチャー・ラボからは串石けんとうちわ、国立台湾文学館からは漢字文字入りボールペンやマスキングテープ、中央研究院歴史語言研究所歴史文物陳列館からは収蔵品をもとにした付箋(ふせん)とキーホルダーなど、台北市立美術館からは建物の外観を模したマグネットや布小物……。“2020”年にちなんで台湾の美術館、博物館、文化・工芸センターなど計20の団体がそれぞれ無償で供出し2月の旧正月明けから順次、日本に空輸された。

 福袋の中身を手に台湾と会津の深い縁を語った池田リリィ茜藍さん。10年前、自身も被災した【写真:(C)カク・ユウシ氏】
福袋の中身を手に台湾と会津の深い縁を語った池田リリィ茜藍さん。10年前、自身も被災した【写真:(C)カク・ユウシ氏】

台湾の20団体が福袋プロジェクトに賛同、旧正月明けから日本へ空輸

 これらの品々は、台北駐日経済文化代表処台湾文化センター(東京・虎ノ門)に集約。漁師網バッグと称される鮮やかな「ガジヤ袋」に15アイテムずつ均等にパッケージングされ、計300セットがそろった。同所のセンター長らと作業を行った池田さんは「公式グッズを提供した20団体の窓口担当者の多くは子どもを持つ母親です。被災地の子どもたちに寄り添いたいという思いは強い」と明かす。これらのグッズセットは子どもたちの成長を祈念する“福袋”として、会津の豪雪地帯に位置する町立、村立の中学校全校生徒約300人(計5校)に贈られる。

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