猪木との抗争で名を馳せた「インドの狂虎」シンの素顔 大プロモーターとの友情秘話【連載vol.27】

帰宅したら…すし屋でシンの誕生会

 ある年の4月3日。何やら誕生会の準備をしている気配を察知した裕美子さん。ルンルン気分で外出先から帰ると、何とシンの誕生会だった。

 お誕生日席に座り、ニコニコご機嫌なターバン姿のシン。何でインド人の誕生会をすし屋でやるの? 大好きなお父さんはシンと肩を組み、酒を酌み交わしていた。裕美子さんはショックだったと言う。

 三浦さんは選手をよく自宅に泊めていた。ホテルではなくうちに泊まってけ! たらふくごちそうするぞ! という三浦さんのおもてなし精神だ。

「選手は品物じゃない。感情を持った人間だ。大事にしないとね」。三浦さんがよく言っていた言葉だ。ビジネスだけではなく、人と人のつながりを大事にしていた。

 地方まで見に来たファンを「田舎は車がないと不便だからね」と車に乗せ、土地の名物を食べさせ、帰る時には名産品の土産を持たせ、帰りの交通費まで渡してくれたという。

「もぎり(切符切り)と売店、手伝って」とある程度の手伝いをさせ、負担に思わせないようにしていたというから、その配慮には恐れ入る。

 今でも思い出すシンと三浦さん。選手もプロモーターも唯一無二。個性的で豪快だった。

次のページへ (3/3) 【写真】かつて大暴れしたシリーズの貴重なポスターを手にしたタイガー・ジェット・シン、何を思う?
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