「今際の国のアリス」の撮影秘話、超ミステリアスな役・村上虹郎が語る“新感覚”の現場
フォトブック「虹の刻」では山田智和監督が写真撮影「読む映画でもあり、詩集」
本では、虹郎を被写体に、山田監督が撮影した写真、同じテーマで書かれた豪華執筆者による文章が並ぶ。「又吉(直樹)さん、岩松了さん、中村文則さんは知り合いだったので、僕の方からお願いしました。ほかにも編集者からの提案で決めたものもあります。又吉さん以外は、テーマだけをお知らせして、書いてもらったので、ずっと化学反応の実験みたいな感じでした。僕の思いとしては、メインは文章。写真はそれを彩るものだと思っています。フォトブックとは言っているけども、読む映画でもあり、詩集だと思っています」。
当初は写真展を開催するつもりだった。「動画も撮ってあったので、写真を展示したり、ライブができたらと考えていたんです。でも、コロナ禍でできなくなってしまって、まずは写真集という形を取ったんです。どう読んでほしいというのはないので、見る方に委ねたいですね。僕はデビッド・フィンチャー監督の『セブン』のような観客に答えを委ねるような作品が好きなので、自由に見て感じて欲しい」。
コロナ禍では、舞台が中止になるなど、約3か月間、仕事が止まった。「『チェルノブイリ』や『ゲーム・オブ・スローンズ』など海外ドラマを観たり、ゲームをすることが多かったですね。『ゲーム・オブ・スローンズ』はドラマの最高峰だと思いました。後は(ジャン・リュック・)ゴダールもちゃんと理解していないから、観ようと思ったり……。僕は義務と理由がないと映画を観ないので、関係ないものばかりを観ていたかもしれない」。
自粛期間はインプットの時間になった。「僕くらいのペースだと、舞台も映画もドラマも不定期。いろんなものに関われるのはいいことなんだけども、撮影して、宣伝の繰り返しになってしまう。そうなると、意外と時間がなくて、圧倒的にインプットが足りないんです。役にはどうしても、自分の人間性が出るわけなので、シンプルに自分の時間を生きる時間も大事だと思うんです」。